お風呂は日本人にとってどのようなものでしょうか。日本人にとって入浴は、ただ身体を洗うだけでなく一日の疲れを癒す大切なひとときである一方、欧米では単に汚れを落とすことを目的としているため、日本は世界でもお風呂好きの国として知られているようです。それ故、家を建てられる際に浴室にこだわりを持つ方も多いのではないでしょうか。近年、日本のユニットバスは9割以上の住宅で使用されていますが、「ユニットバス」という言葉はよく耳にするものの、その定義が意外と知られていないことも多いようです。
そこで今回は、ユニットバスの歴史から、選び方のポイント、大手ユニットバスメーカーの特徴までを詳しくご紹介いたします。
ユニットバス徹底比較:大手メーカー6社をご紹介
ユニットバス誕生の歴史と、
大手メーカー6社をご紹介
ユニットバスと言うと、アパートやビジネスホテルで見かけるトイレと浴槽が一体になったものを連想される方もいらっしゃると思いますが、実はその情報は少し間違っています。ユニットバスとは、工場で成形された浴室の壁や天井パネル、フロアユニットなどを、建築現場で組み立てるタイプのバスルームのことを言います。ユニットバスが普及する以前は、日本では在来工法にて現場で一から作り上げる浴室が一般的でしたが、施工が長期間に及んだり、仕上げのタイル目地から水漏れが起きるなどの問題が多かったことから、次第に短工期で防水性にも優れたユニットバスが主流となってきました。
ユニットバスが流行し始めたのは、1964年に開催された東京オリンピックが背景としてあり、急速な都市開発と宿泊施設の需要増加に対応するため、迅速かつ効率的な施工方法としてホテルの客室などで採用され始めましたが、今ではデザイン性や機能性が大きく進化したユニットバスが、9割以上の住宅でも採用されるようになりました。
進化し続けるユニットバスの歩み
前述のとおり、1964年頃から国内での普及が本格的に始まったユニットバスですが、この60年間で実に大きな進化を遂げています。意匠性や耐久性はもちろん、カビや汚れが付きにくい新素材の採用や、床や浴槽の自動洗浄機能なども搭載されるようになりました。また、カスタマイズ性も向上し、ユーザーの好みに応じて、壁や天井、床や浴槽の色はもちろんのこと、浴槽の形状やシャワーヘッド、バブル機能や照明の色味なども自由に選択することが可能となり、自分たちだけのオリジナリティ溢れる浴室を実現できるようになりました。現在、国内では主に大手メーカー6社がそれぞれ異なる特性を持つユニットバスを開発、販売しており、次に各メーカーの特徴や商品を詳しくご紹介させていただきます。
卓越した意匠性「LIXIL」
住宅設備や建材を数多く提供する日本最大級のメーカーLIXILは、デザイン性と機能性を兼ね備えたユニットバスを展開し、キッチンやトイレ、サッシや建具などとトータルコーディネートできることが大きな魅力です。広い浴室空間を実現する「スパージュ」が人気で、入浴時間の快適性を高める、肩湯やボディシャワー等のリラックス機能も充実しています。
価格帯 :116万円~260万円(標準仕様価格)
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スパにいるようなくつろぎ感を味わえる、特別感を基調としたユニットバス。数ある機能のなかで特に人気の機能は肩湯です。肩周りをほぐし、体全体を温めることが特徴です。
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金額:92万円~147万円(標準仕様価格)
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それぞれのライフスタイルに寄り添って提案する3つのタイプの中から、自分の好みや入浴スタイルに合わせて、ぴったりのバスルームを選ぶことができます。
トイレ空間から水まわりの住宅設備機器全般を手掛けており、ユニットバスを開発した老舗会社のTOTO(旧 東洋陶器株式会社)は、清掃性に優れたユニットバスを展開し、冬場における温かさと速乾性を兼ね備えた「ほっカラリ床」や「きれい除菌水」による床のワイパー洗浄など、独自の機能により快適性や清潔性を追求したユニットバスが魅力です。
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こちらの上位互換商品がシンラになります。
保温性に優れた「Panasonic」
家電、空調、照明、電気設備などを中心に、幅広い分野で事業を展開している日本を代表する電気製品総合メーカーのPanasonicは、家電メーカーの特性を活かしたユニットバスを展開し、5時間で−2.5℃しか温度が下がらない保温浴槽や「酸素美泡湯」など、美容やリラックス効果が期待でき、バスタイムを楽しむための機能が豊富に施されていることが特徴です。
金額:215万円(標準仕様価格)
リゾートのような空間をコンセプトとしており、6種類の中から自分にあったバススタイルを選択でき、映画を見ながら入浴できるシアタースタイルもあります。
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金額:156万円(基本セットプラン)
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システムキッチンや洗面台の国内トップクラスのシェアを誇る大手住宅設備機器メーカーのTakara standard。その最大の魅力は、世界最高レベルにある独自開発の「高品位ホーロー」にあり、ユニットバスの「プレデンシア」では鋳物ホーロー浴槽を採用しており、汚れや傷、湿気に強く、震度6強にも耐える耐久性に優れているため、ユニットバスの美しさを長く保つことができることが特徴です。
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ヤマハの家具・住宅設備部門より派生したTOCLAS(旧ヤマハリビングテック株式会社)は、ヤマハグループの音響技術を活かし、音の反響を抑え、入浴時に音楽を楽しめるサウンドシャワーを搭載したこだわりのバスルームが特徴です。また、音響以外にも自社開発で傷のつきにくい人造大理石「エクラン」を浴槽に採用していることも魅力の一つです。
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ステンレスの加工技術が強みで、主にシステムキッチンをはじめとする水まわり製品を提供する住宅設備機器メーカーのクリナップ(旧井上工業株式会社)。ユニットバスは壁面収納のラインナップが充実しているだけでなく、汚れを落としやすいステンレス素材を活用した機能が多いことも特徴です。また、ユニバーサルデザインに対応しており、世代を問わず快適に使用できる点も魅力です。
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以上のように、それぞれ特徴の異なる各メーカーのユニットバスについてご紹介させていただきました。下記の表では、各社ユニットバスの特徴と、重要なポイントである保温性、清掃性、各種機能、意匠性などについて、簡単に比較させて頂きます。
意匠性に関してはLIXILが高級感のあるデザインを提供し、保温性においてはPanasonicが優れ、清掃性ではTOTOが際立っています。各種機能については、それぞれのメーカーが独自の強みを持ち、理想のバスルームを実現するための選択肢が広がっていますが、LIXIL、TOTO、Takara standardの3社がバランスの良いユニットバスを提供していると考えられます。
さらに下記の表では、各ユニットバスメーカーの商品構成と価格帯を比較させていただきます。
こちらの表を見てみると、ユニットバスの価格相場は約100万円~170万円がボリュームゾーンとなっており、オプション機能を搭載した最上級モデルはモデルは300万円から400万円となっていることが確認できます。ユニットバスは多様なメーカーが独自の魅力を持つ商品を展開しており、実際にショールームを訪れてその特徴を体験することは、選ぶ楽しさを一層引き立ててくれると思います。
今回はユニットバスのご説明や、大手メーカー6社の特徴について詳しくご紹介いたしました。単にユニットバスといっても、メーカーによってさまざまな機能や特徴があるため、ご自分たちに合ったバスルームを見つけることは難しいですよね。こちらのコラムが最適なユニットバスをお選びいただく際の参考になれば幸いです。また、花みずき工房が定期的に開催している現場見学会では、様々なメーカーのユニットバスを実際にご確認いただくことが可能です。是非ともお気軽に足をお運びください。
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