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キッチンレイアウト6種類を徹底比較!

各レイアウトの特徴や、
取り入れたい設備もご紹介

ペニンシュラキッチン
家事の中でも特に長い時間を過ごすことになる「キッチン」。共働き世帯が増える中、家事の効率化はますます重要視されてきていますが、調理時間に大きな影響を与えるのがキッチンのレイアウトです。キッチンには、一般的なI型のレイアウト以外にも、6種類ものレイアウトがあり、それぞれに異なる使い勝手や特徴があります。そこで今回は6種類のキッチンレイアウトのメリット・デメリット、更にキッチンの作業効率を高める「ワークトライアングル」について、詳しくご説明いたします。
造作カウンターのⅡ型キッチン

使いやすいキッチンのポイント、ワークトライアングルとは?

一般的な調理の流れは、「冷蔵庫」から食材を取り出し、「シンク」で食材を洗い、作業台で下ごしらえをし、「コンロ」で調理を行います。この一連の動作を効率的に行うために役立つのが1940年代のアメリカで、人間工学の視点から生まれた「ワークトライアングル」です。ワークトライアングルは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3点を結んだ三角形で、それぞれの間の距離に理想的な範囲があります。
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・シンク⇄コンロ:1.2〜1.8m
・コンロ⇄冷蔵庫:1.2〜2.7m
・冷蔵庫⇄シンク:1.2〜2.1m

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これらの3辺の合計距離が「3.6〜6m」に収まると、キッチン内での動きが効率的になり、歩数が2〜3歩以内で移動できるため、作業効率が大幅に向上します。距離は短すぎるのも問題で、それぞれの機器が近すぎると通路が狭くなり圧迫感を感じたり、作業台のスペースが十分に取れなかったりするので、バランスのいい配置が重要です。
また、他の調理家電の配置も考慮することもポイントです。例えば、電子レンジや炊飯器などがシンク・コンロ・冷蔵庫から離れすぎていると、折角ワークトライアングルを意識しても、その分歩数が延びてしまい作業効率が下がってしまいます。実際に調理中の動きをイメージしながら調理家電の配置も検討すると、使いやすいキッチンレイアウトを設計できますでしょう。使用頻度の高いごみ箱も、シンクの下やその近くに配置すると便利です。さらに、冷蔵庫の位置もポイントです。調理をしない家族も頻繁に使うため、動線が重ならないように、キッチンの入口付近に置くのが理想的です。また、冷蔵庫の扉の開き方によっては、扉を開けるたびに回り込む必要が生じてしまうので、冷蔵庫をトライアングルの内側に配置する際には、扉の開き方も確認しておきましょう。

折下げ天井のペニンシュラキッチン
キッチンレイアウトの基本タイプ

次に、実際のキッチンレイアウトについて、メリット・デメリットを交えながら詳しくご紹介させていただきます。良く見かける、シンク、作業台、コンロが一列に配置されている「I型」のキッチン以外にも、Ⅱ型、L型、U型(コの字型)などの形状があり、更にペニンシュラキッチン、アイランドキッチンを加えた全6種類のキッチンレイアウトがございます。




I型キッチン

I型キッチンとは、コンロ、シンク、作業台を横1列に並べたタイプのキッチンンレイアウトのことです。日本で最も多いのがⅠ型のキッチンです。

メリット
・比較的省スペースに設置できるため、リビング・ダイニングを広くできる
・各メーカーの商品ラインナップが豊富
・比較的リーズナブル
・油汚れや水跳ねが床に飛び散りにくく、掃除がしやすい

デメリット
・複数人での調理には適さない
・サイズが大きいと横の動きが長くなる
・作業スペースが小さくなりがち

おすすめの方
・豊富なライナップからキッチンを選びたい方
・キッチンをコンパクトな間取りにしたい方
・コストを抑えたい方




Ⅱ型キッチン 

I型キッチンとは、シンクとコンロが2列に分かれたタイプのキッチンンレイアウトのことです。 セパレートキッチンとも呼ばれています。 シンクの横とコンロの横にそれぞれ作業スペースがあり、対面で作業できるキッチンです。

メリット
・ シンクとコンロが独立し作業スペースを広く取りやすい
・収納スペースをコンロ側とシンク側の両方にに広く確保できる
・複数人でも快適に料理ができる
・理想的なワークトライアングルを実現しやすい

デメリット
・キッチンスペースをI型よりも広く確保しなければならない
・比較的費用が高額になる
・通路スペースに食材や水滴を落としやすく、床を汚してしまう可能性がある
・リビングやダイニングと対面式にできなくなる

おすすめの方
・ゆったりとした調理・盛り付けスペースが欲しい方
・二世帯住宅など複数人で使用する方
・収納スペースはたくさん欲しい方




L型キッチン 

L型キッチンとは、キャビネットをアルファベットのL字型に配置したキッチンンレイアウトのことです。基本的にコンロとシンクが90度で設置されることが多いです。

メリット
・理想的なワークトライアングルを実現しやすい
・シンクとコンロの作業は、体の向きを90度変えるだけで行える
・複数人でも快適に料理ができる

デメリット
・ コーナー部分の作業スペースの使い勝手が良くない
・コーナー部分の収納が使いにくく、デッドスペースが生まれる

おすすめの方
・効率の良いワークトライアングルを実現したい方
・ゆったりとした調理スペースが欲しい方





U型キッチン 

U型キッチンとは、シンクやコンロ、作業台などをU字型に配置したキッチンレイアウトです。コの字型キッチンとも呼ばれます。基本的にコンロとシンクが90度で設置されることが多いです。

メリット
・3つのスペースで効率的に作業を進められる
・配膳スペース(カウンター)も設けられる
・収納スペースを多く確保しやすい

デメリット
・通路が狭くなる可能性がある
・2つのコーナー部分の収納が使いにくく、デッドスペースが生まれる
・メーカーによってU字型にできる素材が限られている

おすすめの方
・LDKが広く、ゆったりとした調理スペース・配膳スペースが欲しい方
・一人で広く作業に集中したい方


ペニンシュラキッチン

ペニンシュラキッチン 

ペニンシュラキッチンとは、I型キッチンの派生形で、キッチンの背面も仕上げられており、片側が壁に接してた半島(ペニンシュラ)のような形状に配置されたキッチンです。

メリット
・料理中にコミュニケーションを取りやすい
・スタイリッシュな空間を演出できる
・コンロが壁付けのため、油汚れが飛び散りにくく、掃除がしやすい

デメリット
・収納が作りにくい
・裏が仕上げられているため高額になる可能性が高い
・リビング・ダイニングから手元やシンクが丸見え

おすすめの方
・家族とのコミュニケーションを大切にしたい方
・アイランド型よりもお得にスタイリッシュな空間にしたい方



アイランドキッチン

アイランドキッチン 

アイランドキッチンとは、I型キッチンの派生形で、四方すべてが仕上げられ、どの壁にも接していない島(アイランド)のように独立して配置されたキッチンです。

メリット
・料理中にコミュニケーションを取りやすい
・スタイリッシュな空間を演出できる
・回遊できるため動線が重ならない

デメリット
・4面全てが仕上げられているため高額になる
・壁がないため、油が飛び散って汚れやすい。
・リビング・ダイニングから手元やシンクが丸見え
・換気扇の種類に制約がある

おすすめの方
・家族や友人と一緒に料理をしたい方
・ホームパーティー開きたい方
・フロートキッチンにしたい方
・キッチンをおしゃれな空間にしたい方
ミーレの食洗器
家事楽を叶える便利なキッチン設備

キッチンの作業効率を向上させるには、レイアウト以外にも水栓やレンジフード、オーブンや食洗機などのキッチン設備選びも重要になってきます。次に、日々の調理がより快適になる、便利なキッチン設備についてご紹介させて頂きます。


タッチレス水栓
タッチレス水栓とは、センサーに手をかざすだけで水が出る蛇口のことです。手や物を近づけるだけで水を流したり止めることができ、ハンドルとの接触を避けることで衛生面が保てます。また、無駄な水の使用を抑えられるため、節水効果も期待できます。特に、小さなお子さんがいる家庭(子どもが簡単に水を操作できない)や、手を汚さずに衛生管理を徹底したい方におすすめです。
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参考:LIXIL ナビッシュ


自動洗浄レンジフード
自動洗浄レンジフードとは、フィルターの掃除を自動で行ってくれる機能を持つ換気扇です。調理中に発生する油汚れを効果的に吸い込み、フィルターに付着した汚れをノズルからお湯を広範囲に噴射しながら、ファンを自動で回転洗浄する仕組みになっています。この構造により、レンジフード内部とファンの掃除が不要となり、掃除の手間が大幅に削減されます。また、換気性能が長期間安定し、メンテナンスの頻度も少なくて済みます。換気扇の掃除が面倒な方、揚げ物をよくする方におすすめです。
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参考:Panasonic ほっとくリーンフード


ビルトインオーブン
ビルトインオーブンとは、システムキッチンなどのガスコンロやIHクッキングヒーターの下などに組み込んで設置するオーブンのことです。大きくスペースを取るオーブンをキッチンと一体化させることで作業スペースが広がり効率よく作業できるだけでなく、キッチンが生活感のないすっきりとした空間になります。お菓子作りなどでオーブンを頻繁に使う方や、生活感を抑えたデザインを好む方におすすめです。
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参考:Panasonic ビルトインオーブンレンジ


海外製の食洗機
食洗機は食器を自動で洗浄・乾燥してくれる家電ですが、近年では海外製のものにも注目が集まっています。海外製はサイズが大きく、一度に多くの食器や大型の鍋、フライパンを洗えるのが特徴です。強力な洗浄力と省エネ性能を兼ね備えたモデルが多く、光熱費を抑えながら頑固な汚れもしっかり落とせます。また、日本製は引き出し式が主流である一方、海外製は前面に大きく開く「フロントオープン型」が一般的です。大家族や食器をたくさん使う家庭、さらにデザイン性を重視する方にもおすすめです。
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参考:ミーレ ビルトイン食器洗い機


昇降式の吊戸棚
昇降式吊戸棚とは、高い位置にある吊戸棚を手動または電動で手の届きやすい高さまで下げられるシステムキッチンのキャビネットです。キッチンが狭い場合でも、縦の空間を有効活用できるため、収納スペースを効率的に確保することができます。大きい収納スペースがほしい方や、身長が低い方、ご高齢者、お子様がいるご家庭におすすめです。
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参考:LIXILオートダウンウォール 


ビルトインゴミ箱
ビルトインゴミ箱とは、シンク下やキッチンカウンター下の収納スペースにあらかじめ内蔵されているゴミ箱のことです。ゴミ箱を別に置く必要がないため、キッチン内の動線がすっきりし、スペースを有効活用できます。シンク下に内蔵する場合は、水気の多い生ゴミもすぐに捨てられるため、床への水ダレを防ぎ、キッチンを清潔に保つことができます。キッチンに生活感を出したくない方、スペースを有効活用したい方におすすめです。
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参考:クリナップ ハイフロアカウンター
キッチンレイアウトの注意点

ここまで、作業効率を高めるキッチンの配置やおすすめの設備についてご紹介してきました。しかし、効率的なキッチン作りには、パントリーやダイニングなどのキッチン周り設備のレイアウトにも注意が必要です。細かな配置の工夫次第で、日々の使い勝手が大きく変わります。次ではキッチン周辺設備のレイアウトにおける注意点をご紹介いたします。

パントリーの設置場所
パントリーとは、キッチンやダイニングの近くに設置される収納スペースで、食品や食器、調理器具、日用品などをストックしておく場所です。注意点として、キッチンから遠すぎると食材を取りに行くのが手間になったり、奥まった場所にあると買い物後に玄関から運ぶのが大変になることがあります。理想的な配置は、キッチンの横並びや背面、または玄関とキッチンの間で、キッチン寄りに設置することで使いやすさと動線が向上します。

ゴミ箱の設置場所
キッチンでの作業中はゴミが出やすいため、ゴミ箱の位置が不便だと作業効率が低下します。注意点として、キッチンの作業スペースからゴミ箱が遠いと使いにくく、逆に動線上に置くと足を引っ掛けるリスクがあります。
また、一般的なゴミに加えて、空き缶や空き瓶、資源ごみなどの分別が必要なため、意外と多くのスペースが必要です。ゴミ箱の利用頻度に応じた配置が重要で、例えば、シンク下にビルトインゴミ箱を設置したり、パントリーに空き缶や瓶用のゴミ箱を設けるなど、使い勝手を考慮した工夫をするといいでしょう。

コンセントの数と設置場所
キッチンでは、電子レンジや炊飯器などの調理家電を使うため、コンセントが必要不可欠です。コンセントが不足して延長コードやたこ足配線を使うと、消費電力の高い調理家電によってブレーカーが落ちたり、最悪の場合、発火の危険があります。また、コンセントを一箇所に集中させるとコードが絡まり、家電が密集して作業の邪魔になることも。そのため、コンセントはキッチン内でできるだけ分散して配置するのが理想です。目安として、キッチンに必要なコンセントの数は約6口です。さらに、カップボードに家電を並べる場合は、天板から15cm程度の高さにコンセントを設置すると、より使いやすくなります。

ダイニングテーブルの設置場所
キッチンで調理したものは食事のためダイニングテーブルに運びます。テーブルがキッチンから遠いと、配膳や片付けが面倒になるだけでなく、食器や料理を落としてしまうリスクも高まるためダイニングテーブルはキッチンから適度に近い場所に配置することが大切です。
理想的な配置の一つとして、キッチンとダイニングテーブルを横並びにすると、調理と食事の動線がスムーズになりますし、テーブルを臨時の作業台としても使うことができます。また、キッチンとダイニングの間にカウンタースペースを設けるのもおすすめです。配膳や片付けの中継地点として活用できるほか、簡単な食事やお茶を楽しむスペースとしても便利です。
快適なキッチン空間を実現したご家庭

今回は、調理の作業効率を高めるキッチンの「ワークトライアングル」や、6種類のレイアウト、さらに家事楽を叶える便利なキッチン設備やキッチンの注意点について詳しくご紹介させていただきました。このコラムが皆さんのキッチン選びの手助けとなり、日々の家事が少しでも快適になることを願っています。
花みずき工房では定期的に完成現場見学会を開催しています。様々なレイアウトのキッチンや設備を実際にご覧いただくことができますので、是非お気軽に足をお運びください。


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Mieko Sano

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