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リフォームと建て替え、迷った時の判断基準

築年数による違いや、
リフォーム実例もご紹介

リフォームされた内装
住宅を建ててから数年、数十年と年月が経過していくと、多くの方が建物の維持管理のお悩みに直面いたします。はじめのうちは小規模なメンテナンスや部分的なリフォームで対応できることも多いですが、30年を経過する頃にはライフスタイルの変化もあって、大規模なリフォームや建物自体の建て替えを検討される方も出てこられます。ここで良くお聞きするのがリフォームと建て替えのどちらを選択すべきか?というお悩みです。そこで今回は、リフォームと建て替えの選択に迷ったときの判断基準、築年数による選択肢の違い、そしてリフォームの実例についてご紹介いたします。
建築模型
リフォームと建て替えの違い

住まいの建て替えとリフォームは、築30年頃から検討されることになる既存の住宅を改善するための代表的な選択肢ですが、ここでその違いについて詳しくご紹介いたします。

リフォームとは?

住まいのリフォームとは、老朽化した建物を新築に近い状態に戻したり、現状に修繕や改修を行って、建物の機能や美観を向上させることを指します。老朽化した外装の修繕、使い勝手やライフスタイルの変化に合わせた間取りや設備の改修、古くなった内装の改善等が主な項目です。
また、大規模な改修を行って建物の機能性やデザインを根本的に見直し、用途や価値を向上させる「リノベーション」という言葉もございますが、住宅におけるリフォームは既存の住まいの改修や改善を行って老朽化を防げ、住みやすさを向上させるという意味合いが強いです。

建て替えとは?

建て替えとは、既存の建物を完全に解体して更地にした後、新しい住宅を建築することを指します。基礎や柱などの構造躯体を含めて家全体を解体し、更地にしてから全く新しい建物を建てることになります。ゼロから全く新しい建物を自由に設計することが可能ですが、法律上の制約や法の改正により、新たな基準に従うと以前より狭い建物しか建てられなかったり、建物の配置を見直す必要が出てきたり、最悪の場合は建て替え自体ができない場合もございますので注意が必要です。

リフォームの様子
リフォームのメリット・デメリット

リフォームと建て替えの違いをご理解いただいたところで、次にそれぞれのメリットとデメリット、さらにそれぞれどんな方におすすめか?を詳しくご紹介いたします。

 

[ リフォームのメリット ]

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〇:コストが比較的抑えられる

建て替えと比較して、費用を抑えながら住まいを改装できる点がリフォームの最大のメリットです。建築躯体や基礎は基本的に残したままの工事となるため、大規模な解体工事費用は発生せず、駆体や基礎も活かして工事を行うことができます。また、リフォームであれば住みながらの工事も可能になる場合があるため、仮住まいにかかる家賃や引越し費用なども節約することができます。

〇:短期間で工事が完了する
リフォームは建て替えに比べて工期が短いことも大きなメリットです。工事内容にもよりますが、リフォームの工期は数週間から数カ月間と、新築と比較して大幅に短くなることが多いため、比較的早くもとの生活に戻れるというメリットがございます。

〇:愛着のある家を活かせる
長年住み続けてきた家には少なからず思い出や愛着がございます。リフォームを選択することで、外観や雰囲気を維持したまま現代的な機能や要望を追加できるため、過去と未来の調和を実現することができます。


[ リフォームのデメリット ]
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×:設計や間取りの制約が多い
リフォームは基本的に駆体や基礎を活かして行うことになるため、間取りの変更やデザインに限界があります。家を支える柱や耐力壁は取り壊すことができないため、思い通りの間取りや広さを実現できない場合があります。大規模な間取り変更や自由な設計を求める場合は、リフォームでの対応が難しく、建て替えが必要になることがあります。

×:根本的な解決が難しい
建物が老朽化していたり、構造的な問題がある場合、リフォームでは完全な解決ができないケースがあります。例えば、基礎や耐震性に問題がある建物は、部分的な改修では十分な安全性を確保できないことがあります。問題によっては大規模リフォームを行うよりも、建て替えた方が結果的に安価で長持ちする場合もあります。

×:予期せぬ追加費用が発生する
リフォームでは、工事中に予期せぬ問題が発覚することがしばしばございます。例えば、壁を取り壊した際にシロアリ被害や腐食が見つかることや、配管や配線が想定以上に老朽化している場合、追加で修繕が必要となり、当初の見積もりよりコストが増加するリスクがあります。工事が進むにつれて発生する予期せぬ追加費用は、予算を超えてしまう原因となり得ます。

[ おすすめの方 ]
・現在の間取りに大きな不満がなく、大規模な変更を必要としない方。
・予算に限りがあり、少しでも予算を抑えたい方
・引っ越しの手間を省き、短期間で工事を終わらせたい方。
・現在の家に愛着があり、昔ながらの雰囲気を大切にしたい方。
建て替えの様子
建て替えのメリット・デメリット

次に、住まいを建て替えされる場合のメリットとデメリット、さらにどういう方におすすめかを、詳しくご紹介いたします。

[ 建て替えのメリット ]
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〇:ゼロから住宅を設計・建築できる
建て替えでは既存建物の配置や間取りに制約されることがなく、ゼロから自由な間取りやデザイン、素材選びができることが大きなメリットです。もともと住んでいた土地での建て替えなので、既存建物での問題を考慮しながら周辺環境や生活スタイルに最適なプランを立てることができます。

〇:最新の耐震・断熱性能に対応できる
日本では1981年以降に新しい耐震基準が適用されており、建て替えにより最新の耐震基準に準拠した住宅を建てることができるため、地震災害に対する安全性が高まります。また、近年では省エネや断熱性能の向上が重要視されており、新築では最新の断熱技術を取り入れた快適な居住環境を実現することが可能です。

〇:将来的なメンテナンスの減少
新築の場合、すべてが新品の状態からスタートするため、当面の間は大きな修繕が不要にとなり、リフォームに比べて長期間メンテナンスコストを抑えられる可能性が高いです。


[ 建て替えのデメリット ]
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×:高額な費用がかかる
建て替えは、解体費用と新築費用が必要となるため、リフォームよりも高額になるのが一般的です。一軒家のおおよその解体費用の相場は100万〜300万円程度とされており、新築費用に加えてこの解体費用が必ず必要になってきます。

×:建築期間が長く仮住まいが必要
建て替えは、解体作業から始まり、設計・施工・検査までのプロセスが含まれるため、リフォームに比べて工期が長くなり、通常、半年から1年程度の期間がかかります。その間の仮住まいの家賃が発生したり、現在の住まいから仮住まい、仮住まいから新居へと2回分の引っ越し費用もかかります。また、賃貸物件は通常2年契約が多いため、半年~1年程度の短期間の契約に対応していない場合も多く、仮住まい探しが難航するか、違約金などが発生する場合もあります。

×:法律上の制約がある
建て替えには建築基準法や都市計画法の規制が適用されるため、場合によっては以前と同じ規模や配置で建物を建てられないことがあります。特に、容積率や建ぺい率、接道義務などの規制により、以前よりも小さな建物しか建てられなかったり、最悪の場合は建て替え自体が不可能な場合もございます。

[ おすすめの方 ]
・建物が老朽化して、耐震性や安全性に不安がある方。特に1981年以前の旧耐震基準で建築された方は建て替えをお勧めします。
・ライフスタイルの変化などに伴い、大幅な間取りの変更が必要な方。
・建物の構造や基礎に問題があり、根本的な改善が必要な方。
・家族構成が変化して、多世帯住宅を検討されている方。
リフォームされたリビング
築年数によるリフォームと建て替えの選び方

リフォームか建て替えかを判断する際、特に重要なのが築年数と耐震基準です。現在の耐震基準である「新耐震基準」は、1981年(昭和56年)に大幅に改正されました。この基準に基づいて建てられた建物は、1995年の阪神大震災でも被害が少なく信頼できる基準と考えられていますが、それ以前の建物では耐震面での不安が残ります。ここでは築年数30年、40年、50年にわけて、リフォームか建て替えかの選び方をご紹介いたします。

築30年の場合
築30年以下の建物は新耐震基準を満たしており、建物の構造部分もしっかりしている事が多いため、構造的な問題がない場合はリフォームを選択することが合理的です。ただ、キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備は老朽化を迎えて快適さに問題がでてくることが多いため、交換されることをおすすめいたします。また、屋根や外壁、雨樋など外回りの修繕も併せて行うことが、建物の寿命を伸ばす上で有効的です。また、断熱性能に不安がある場合は断熱リフォームも効果的でしょう。
但し、家族のライフスタイルに大きな変化があり、大規模な間取り変更が必要な場合は、建て替えを検討することも必要です。

築40年の場合
築40年以上の建物は、1981年以前の「旧耐震基準」で建てられていることが多いため、耐震性が不十分で大地震における倒壊リスクが高くなります。また、建物の老朽化もだいぶ進んでいる可能性が高い時期となるため、よほどしっかりとメンテナンスされた住宅でない場合は、大規模なフルリフォームや建て替えを検討することが合理的です。リフォーム内容としては耐震リフォーム、断熱リフォームに加えて外回りの修繕や水回り設備の刷新も欠かせないため、ある程度大規模なものになるでしょう。しかし家族構成やライフスタイルも大きく変化している事も多い時期になるため、大幅な間取り変更が必要な場合は迷わず建て替えを検討されることをおすすめいたします。

築50年の場合
築50年以上経過している建物は、ほとんどが旧耐震基準で建てられているため、過去に大規模なリフォームが行われている場合や、建物に歴史的な価値や愛着がある場合を除いて、建て替えされることをおすすめいたします。仮に、大掛かりなリフォームを行って建物を存続させて場合でも、断熱性能の低さや逃れられない老朽化から、その後の維持管理に多大な費用が掛かってしまう可能性がございますので、リフォームを行う場合は維持管理やメンテナンス費用も考慮しながら慎重に検討されることをおすすめいたします。
リフォーム実例のご紹介

花みずき工房のリフォーム部門「アトリエ花みずき」では、これまでに多くのリフォーム・リノベーションを手掛けてきました。ここでは、その施工事例の一部をぜひご覧ください。

CASE 1:時を紡ぐ格天井が見守る「暮らしながらのフルリフォーム」
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築38年のI様邸では、部分的なリフォームは行ってきたものの内外ともに経年劣化が進み、大規模なフルリフォームを行いました。

【 施工内容 】
・玄関引き戸の交換

・和室の改修

・キッチン設備変更

・照明交換

・床増貼り改修に伴い建具寸法調整

・浴室の改修

・外壁の改修

  目安費用 1,800万円
  築年数  築38年
  施工期間 約3ヶ月間


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CASE 2:吹き抜けからの陽が広がる中古住宅リノベーション
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築34年の中古住宅を購入しリノベーションしたN様邸。憧れだった吹き抜けや無垢床を採用し、より明るく心地よい空間を実現いたしました。

【 施工内容 】

・壁紙張替え、床の増貼り

・全ての窓に内窓の取付け

・玄関ホールの改修

・和室の改修

・浴室拡張に伴う洗面室の間取り改修

・水回り設備の交換

・照明器具を全て交換

・内部建具を全て交換

 

  目安費用 1,810万円
  築年数  築34年
  施工期間 約4ヶ月間


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CASE 3:古きを活かした、自然素材のリノベーション
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築37年になる和風邸宅を全面改装されたO様邸。予てよりこの家にあった価値ある建材の数々を活かし、リノベーションしたことで、見事な「古今融合」の空間を生み出しました。

【 施工内容 】

・LDK空間の改装工事

・壁と天井は本漆喰&珪藻土塗り壁に変更
・床材を無垢床に変更

・キッチンの入れ替えと造作棚の設置

・断熱材をマシュマロ断熱に変更

  目安費用 1,687万円
  築年数 築37年
  施工期間 約4ヶ月間


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CASE 4:遊び空間のあるワンランク上の上質リフォーム
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多趣味で来客の多いH様。増築も含めワンランク上の「上質仕様のリフォーム」と「遊びの空間づくり」のリフォームが完成いたしました。

【 施工内容 】

・リビングの増築
・リビングの床の一部を大理石に変更

・キッチンの横壁や天井をタイルに変更

・玄関の改修

・ベランダの新設

・和室の改修

・寝室の壁をタイル仕上げ変更

 

  目安費用 1,960万円
  築年数  築16年
  施工期間 約5ヶ月間


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建て替え

今回は、リフォームや建て替えをご検討中の方に向けて、リフォームと建て替えの選び方、築年数に応じた最適な選択肢、そして実際のリフォーム事例をご紹介いたしました。このコラムが、皆さまのご判断の参考になれば幸いです。花みずき工房のリフォーム部門「アトリエ花みずき」では、水回りの小さな改修からフルリフォーム・リノベーションまで、幅広く対応しております。また、新築工事においては建て替えの施工実例もございますので、リフォームか建て替えかでお悩みの際は、ぜひプロの意見をお聞きに、お気軽にご相談ください。



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Hiroshi Okano

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