キッチンは、私たちの生活において家事の中心ともいえる重要な場所です。近年ではコロナ禍の影響で在宅勤務が増加し、自炊する頻度が増えたこともあり、更にキッチンでの滞在時間は増加してきています。そんな中、家事効率の悪いキッチンでは手際が悪くなり、生活の質にも悪影響を与えてしまうため、効率よく家事を進めるためには、作業効率や衛生面を考慮したキッチン選びが非常に重要になってきます。そこで今回は、家事をスムーズにこなし、快適に料理を楽しむための、大手メーカーが提供するシステムキッチンの特徴や価格帯を比較してご紹介いたします。
システムキッチン完全ガイド:特徴と大手メーカー7社徹底比較
システムキッチンの概要と、
大手メーカー7社をご紹介
システムキッチンとは
システムキッチンとは、シンクやコンロなどキッチンに必要な設備が一枚の天板(ワークトップ)で一体化され、その下にキャビネットが組み込まれているキッチンのことをいいます。このシステムキッチンは「ビルトインキッチン」とも呼ばれ、作業効率を高めることはもちろん、見た目の美しさにもこだわって設計されています。
従来のキッチンでは、流し台やコンロ台、作業台などが別々に設置されるのが一般的で、これによりお手入れや家事の作業効率が悪化し、キッチンのカスタマイズも限られていたため、ライフスタイルに合ったキッチンを作るのが困難でした。
1970年代の流し台:引用クリナップ
そんな課題を解決するために登場したのがシステムキッチンです。ヨーロッパで主流だったこのスタイルを日本に広めたのはクリナップで、1980年代から1990年代にかけて普及し始めました。現在では、多くの家庭で採用され、キッチンのデザインや機能は大きく進化し、使いやすさと美しさが共存する空間が実現されています。システムキッチンの魅力の一つは、そのレイアウトの多様性です。I型、L型、二列型、U字型、アイランド型、ペニンシュラ型といった様々なスタイルから、間取りや家族構成、ライフスタイルに最適なレイアウトを選ぶことが可能になっており、これによりキッチンは単なる料理をする場所を超え、家族や友人とのコミュニケーションが生まれる空間へと進化し、生活をより豊かにする一部となりました。
システムキッチンの特徴は大きく分けて、意匠性、機能性、清掃性の3つに分類されます。つぎにそれぞれの特徴について、詳しく説明させて頂きます。
洗練されたデザインが魅力で、レイアウトや素材、色彩は数十種類から数百種類の中から選ぶことができ、自分の好みやインテリアに合わせて自由にキッチン空間をコーディネートすることが可能です。家族のライフスタイルやキッチンの役割に応じて、個性的かつ機能的なデザインを作り上げることができます。
部屋の広さやレイアウトに応じて効率的に配置できるため、デッドスペースが少なく、作業の動線も良くなります。さらに、最近では食洗機やオーブン、ゴミ箱などがシステムキッチンに組み込めるようになり、作業効率が大幅に向上し、キッチン周りもスッキリと片付き作業空間を広く確保できる点も大きな魅力です。家事の負担を軽減し、日々の生活を快適にサポートできるよう設計されています。
ワークトップやシンクの継ぎ目が少なく、汚れが溜まりにくい設計になっているため、掃除が簡単であり、ホーローやステンレスといった、汚れが落ちやすく耐久性の高い素材が多く使用され、清潔さを長く保つことができます。毎日使用するキッチンだからこそ、掃除のしやすさやメンテナンスの手軽さが重要です。
現在、国内では主に大手メーカー7社がそれぞれ異なる特性を持つシステムキッチンを開発、販売しており、次に各メーカーの特徴や商品を詳しくご紹介させていただきます。
■ 価格帯 :87万円~170万円
※ I型・間口255㎝・食洗器なし
■ 価格帯 :82万円~97万円
■ 価格帯 :61万円~83万円
トイレ空間から水まわりの住宅設備機器全般を手掛けている、老舗会社のTOTO(旧 東洋陶器株式会社)は、清掃性に優れたキッチンを展開しています。吹きかけるだけで調理器具を清潔に保つ「きれい除菌水」や、10年間ファンのお手入れが不要で、取り外し部分が2点のみと簡単な「スーパークリーンフード」など、清潔な暮らし独自の技術でをサポートするキッチンが特徴です。
■ 価格帯 :82万円~126万円
■ 価格帯 :77万円~89万円
家電、空調、照明、電気設備などを中心に、幅広い分野で事業を展開している日本を代表する電気製品総合メーカーのPanasonicは、家電メーカーの特性を活かしたキッチンを展開し、3~4つのコンロを横一列に配置した「トリプルワイドコンロ」や幅600mmの大容量の食洗い乾燥機、2分でまな板を乾燥・除菌する「まな板キレイ乾燥機」など、家事効率を高める機能が充実していることが特徴です。
■ 価格帯 :135万円~225万円
■ 価格帯 :115万円~146万円
■ 価格帯 :94万円~152万円
システムキッチンや洗面台の国内トップクラスのシェアを誇る大手住宅設備機器メーカーのTakara standardは、世界最高レベルの独自開発「高品位ホーロー」を使用しており、耐熱性、防臭性、清掃性に優れ、汚れや湿気に強く、ニオイが付きにくいため、サッと水拭きするだけでお手入れが簡単です。さらに、マグネットが付く素材であるため、自由なアレンジが可能で、インテリアに合わせたカスタマイズを楽しめることも特徴です。
■ 価格帯 :117万円~205万円
■ 価格帯 :73万円~134万円
■ 価格帯 :45万円~88万円
■ 価格帯 :32万円~85万円
ヤマハの家具・住宅設備部門より派生したTOCLAS(旧ヤマハリビングテック株式会社)は、国産初の人造大理石カウンターキッチンを採用しています。特許を取得したテノールカウンターは、350℃に空焼きしたフライパンを10分間放置しても割れにくく、変色しにくい高い機能性が特徴です。また、100色以上の塗装扉からカラーシミュレーションが可能で、理想のキッチンをイメージしやすい点も魅力です。
■ 価格帯 :119万円~287万円
■ 価格帯 :83万円~110万円
主にシステムキッチンなど水まわり製品を提供するクリナップ(旧井上工業株式会社)は、日本初のシステムキッチンを開発した老舗企業です。特にステンレスの加工技術が優れており、キッチンのキャビネットには高品質のステンレスを使用しているため、30年経ってもカビやニオイに強く、耐久性、清潔感を保ちつつ長持ちすることが特徴です。
■ 価格帯 :127万円~243万円
■ 価格帯 :106万円~161万円
■ 価格帯 :63万円~96万円
良質な木材を使用し、住宅設備機器などを販売する木質総合建材メーカーのWOODONE(旧株式会社住建産業)は、無垢材にこだわり、食材を扱うキッチン周りでも安心して使うことができます。高耐久なステンレス天板下のキャビネットは、水や汚れに強い特殊なウレタン塗料で保護されており、汚れがしみ込みにくく、お手入れも簡単です。無垢のキッチンは温かみがあり、使うほどに表情や味わいが増すことも特徴の一つです。
■ 価格帯 :49万円~185万円
■ 価格帯 :89万
以上のように、それぞれ特徴の異なる各メーカーのシステムキッチンについて、詳しくご紹介させていただきました。各社にはさまざまな特徴があり、簡単にまとめさせていただくと、LIXILは洗練された意匠性、TOTOは清掃性、Panasonicは家事効率に優れています。また、Takara standardは高品位なホーロー、TOCLASは耐熱性、クリナップはステンレス技術が強みで、WOODONEは良質な木材を用いて安心感のあるキッチンを提供しています。それぞれのメーカーが独自の強みを持ちながら、安心で快適なシステムキッチンを開発・販売しています。
さらに下記の表では、各システムキッチンメーカーの商品構成と、それぞれの価格帯を比較させていただきます。下記の表では、I型、W2550mm、食洗機無しの場合の各商品の価格を比較しています。
こちらの表を見てみると、システムキッチン基本プランの価格相場は約70万円~150万円がボリュームゾーンとなっており、オプション機能を追加していくにつれ、値段が高くなる傾向にあります。システムキッチンは扉の種類や、水栓やコンロ、レンジフードなどの設備によって、同じ商品でも金額が変わってくるため、実際にショールームを訪れて実物を確認されることをおすすめいたします。
今回はシステムキッチンの概要と大手メーカー7社の商品の特徴について、詳しくご紹介いたしました。このコラムが、効率よく家事を行える、作業効率や衛生面に配慮したシステムキッチン選びの参考になれば幸いです。また、花みずき工房が定期的に開催している現場見学会では、様々なメーカーのシステムキッチンを実際にご確認いただくことが可能です。是非ともお気軽に足をお運びください。
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