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注文住宅の庭づくり入門

庭の種類やメリット、
作り方のポイントを徹底解説

お家の外観の印象を大きく左右する「庭」。注文住宅に庭をつくることで、日常の暮らしに小さな贅沢と豊かな時間をもたらしてくれます。四季折々の植物を楽しんだり、子どもやペットが遊べるスペースを確保したり、あるいはリラックスできるアウトドアリビングとして使うなど、庭にはさまざまな楽しみ方がありますが、その一方でご自宅に庭を設ける上での注意点などもございます。そこで今回は、注文住宅に庭をつくることのメリット・デメリットに加えて、庭の種類や庭づくりのポイントなどを詳しくご紹介させて頂きます。
注文住宅に庭をつくるメリット

ご自宅に庭があることで、日々の暮らしにさまざまなメリットをもたらしてくれます。ここでは注文住宅に庭を設けることで得られる主なメリットをご紹介させて頂きます。

1. 家の外観・内観が映える
庭があることで、建物の外観に奥行きが生まれ、見た目がより魅力的になります。植栽やフェンス、花壇などを使って庭をデザインすることで、家の「額縁」として働き、建物を引き立たせる要素となります。また、庭は室内からも眺めることができ、インテリアとエクステリアのつながりを感じられるため、家全体が一つの空間としてまとまりのある印象になります。

2.ライフスタイル・趣味時間が充実する
ガーデニングやバーベキュー、屋外でのDIYなど、アパートや庭のない家では味わうことのできないアクティビティを楽しむ事ができます。子どもやペットがのびのびと遊べるスペースにもなり、芝生エリアがあると安心して走り回ることができるため、お子様の健康的な成長にも役立ちます。また、四季折々の変化を楽しむこともでき、暮らしにゆとりや安らぎが生まれます。

3.採光と通風の向上
庭があることで、建物に自然光を取り入れやすくなり、日中は照明を使わなくても明るい空間が確保できます。また、風の通り道としても機能するため、室内に心地よい風が流れ、住宅全体の換気が良くなります。これにより、快適な住環境が得られ、省エネにもつながります。

4.周囲の景観にも貢献する
庭が美しく整っていると、家の周辺環境にも良い影響を与えます。緑が豊かな住宅は、地域の景観にも調和しやすく、周りの景色全体も美しく見せる効果があります。また、庭が外から見える位置にあると、通行人や近隣住民にも癒やしや好印象を提供でき、地域の価値を向上させることにもつながります。
注文住宅に庭をつくるデメリット

住宅に庭があることで多くのメリットが得られる一方で、デメリットも存在します。庭づくりを検討する際には、これらのデメリットも考慮し、設計や維持方法を検討することが大切です。以下に、自宅に庭を持つことで考えられる主なデメリットを紹介いたします。

1.広い土地スペースの確保が必要
庭を設けることで敷地が制約され、居住スペースが削られる可能性があります。特に都市部では土地が限られているため、庭を優先しすぎると住居スペースに制約が生じてしまうので、住居スペースと庭の広さのバランスをよく考えることが重要です。

2.メンテナンスに時間やコストがかかる
庭の維持には植栽の剪定、落ち葉の掃除や雑草の管理などが欠かせません。メンテナンス作業を怠るとかえって見栄えが悪くなり、外観に悪影響を及ぼします。維持管理には専門業者に依頼する費用も発生するため、計画的に予算を組むことが求められます。

3.プライバシーの確保が難しくなる
庭をつくると家の敷地が広く開けるため、外から見えやすくなり、プライバシーが確保しづらくなる場合があります。フェンスや植栽で目隠しを設けたり、庭のレイアウトを工夫することで解決できますが、その分追加の費用や計画が必要となります。

4. 害虫や害獣の問題

植物を育てる庭には、どうしても害虫や害獣が寄り付きやすくなります。夏場には蚊やアリ、カメムシなどの害虫が増え、庭で過ごす際の快適性が損なわれることもあります。また、地域によってはイタチやアライグマなどの野生動物が植物や芝生を荒らすこともあり、害虫や害獣の対策が必要になる場合もあります。

注文住宅の庭の種類

単に「庭」と言っても、実はその場所や用途によりさまざまな呼び方があります。施工業者とのやりとりで詳細な呼び名や専門用語が出てくることがあるため、事前に知っておくとスムーズに意思疎通ができて安心です。ここでは、主な庭の種類や特徴をご紹介いたします。


前庭 (まえにわ)

前庭とは、建物の正面にある庭のことを指します。主に建物の「顔」として、来客者が最初に目にするスペースで、建物全体の印象を左右する重要な役割を果たしています。人目に触れやすい場所のため、植栽で季節感を演出したり、ライトアップでおしゃれな雰囲気を加えることで、ワンランク上の空間を演出できます。来客が多くエントランスを大切にされたい方や、建物に風格や趣を加えたい方におすすめです。

中庭 (なかにわ)

中庭とは、建物に囲まれた内部空間に設けられた庭のことです。一般的には、建物の中央や一部の区画が吹き抜けのように開けた構造になっており、その内部に設けられた庭を「中庭」と呼びます。外部からは見えにくいプライベートな空間としての役割を持っており、家族だけの静かなリラックス空間を作りたい方や、自然を身近に感じながら生活されたい方におすすめです。

坪庭 (つぼにわ)

坪庭とは中庭よりもさらに小規模で、限られた小さなスペースに設けられる庭で、主に住宅や商業施設の一角に作られます。坪庭の起源は江戸時代にさかのぼり、主に狭い敷地や町屋で、少しでも自然を感じられるようにと考えられた庭のスタイルです。都市部や住宅密集地に住んでいる方、自然を取り入れたいが広い庭は不要な方におすすめです。

主庭 (おもにわ)

主庭とは、住宅や施設における主要な庭のことを指し、通常、建物と直接つながりのある広めの庭です。主庭はリビングや応接室、ダイニングなど主要な居住スペースに面して造られる場合が多く、家族が日常的に使うスペースとしても、また来客を迎えるための場所としても重要な役割を果たします。敷地面積が広い住宅であれば、庭全体の中心となるエリアで、居住空間としての機能と美的な価値が融合したスペースとなります。アウトドアを楽しみたい方、ガーデニングが好きな方、家族全員で使える外空間を作りたい方におすすめです。

裏庭 (うらにわ)

裏庭とは、住宅の後ろ側に位置する庭で、通常は建物の正面や前庭と異なり、よりプライベートな空間として設けられることが多いです。裏庭は外部から見えにくい位置にあるため、家族や住民が静かにリラックスしたり、プライバシーを保ちながら過ごしたりするための空間として活用されます。人目を気にせず使用できるため、収納スペースとして物置を設置したり、家庭菜園を楽むスペースとしても適しています。実用的な庭を求める方や、プライバシーを重視される方におすすめです。

注文住宅の庭づくりのポイント

ここまで、庭づくりのメリットやデメリット、庭の種類についてご紹介してきました。では、実際に庭を作る際、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?ここでは、庭づくりで失敗しないためのポイントをご紹介いたします。

住宅のプランと同時に考える
庭を住宅のプランと一緒に考えることで、建物と外構のデザインや機能が調和し、住環境の快適さや利便性が向上するなど、多くのメリットがあります。例えば、リビングから見える庭の景色を意識して配置や植栽を決めたり、建物の素材と庭のデザインを合わせることで、全体が統一感のある美しい仕上がりになります。
また、埋設するガスや水道などの配管の位置や、建物のレベルなども事前に知っておくことで、庭づくりをスムースにすすめることができます。

庭の使い道を考えておく
庭の用途をどのようにするか、なんのために使うのかを考えておくことで、庭の使い勝手やデザインの方向性が定まり、計画段階から無駄を減らして期待どおりの仕上がりを実現しやすくなります。例えば、子供が遊べる庭やペットが快適に過ごせるスペース、バーベキューやガーデンパーティーが楽しめるアウトドアリビングなど、用途に応じて必要なスペースや機能が変わるため、どのような庭にしたいのか明確にしておくことで無駄な要素を省きつつ必要な機能を取り入れやすくなります。また、水道や電気なども用途に合わせて事前に計画しておくことが重要です。

日当たりや風通しを考える
庭を計画するうえで、建物への日当たりや風通しを考えておくことも大切です。例えば、リビングやダイニングといった居室の窓に面して日当たりの良い庭を配置したり、季節ごとの風向きに合わせて開口部や植栽の配置を工夫することで、室内環境が快適になります。特に夏場の涼しさや冬の陽射しの取り入れ方を考慮した植栽計画を立てることで、エネルギー効率の良い住まいづくりが可能となります。

駐車場、駐輪場を考える
庭づくりにおいて駐車場や駐輪場の位置を考慮することで、スムーズな生活動線を確保することができます。例えば、駐車場から玄関への距離が短ければ、買い物や通勤の際に荷物の運搬が楽になります。また、駐輪場が玄関や勝手口の近くにあれば、子どもの自転車や日常の移動手段の取り出しがしやすくなり、朝の忙しい時間帯にも便利です。適切な位置に設けることで、無駄な移動が減り、快適な動線を実現できます。
庭の仕上げ方法と特徴

庭をつくる上で重要となるのがその仕上げ方法です。用途や目的に合った素材を選ぶことで、快適で長持ちするお庭を手にすることができます。ここでは地面の主な仕上げ方法と、その特徴をご紹介いたします。

「 土 」
庭に土を使用することで、植物に優しい環境が整うだけでなく、ナチュラルで暖かみのある空間を演出できます。土は水はけや水持ちを調整しやすいため、雨の後も水が溜まりにくく、乾きやすい庭をつくることが作ることができます。また、土の種類や質感を工夫することで、庭の見た目や機能性を自在に調整できるため、土は庭造りに欠かせない素材と言えるでしょう。

「 芝生
 」
庭の仕上げに芝生を使うと、見た目の美しさや快適性が増し、庭全体が心地よい空間になります。清潔感やリラックス感を演出し、特に日差しを受けた芝生は明るく輝き、見た目に美しく映えます。芝生の柔らかなクッション性は、歩きやすく足にも優しいため、子どもやペットが安心して遊べる空間になります。地面が土や砂よりも清潔で、転んだときの衝撃も和らげてくれるので、安心して遊ばせることができます。また、芝生は草地の特性により水分を多く含むため、土やコンクリートに比べて表面温度が低くなり、特に夏場は周囲の温度を下げる効果があり、涼しく感じる空間をつくり出すことができます。

「 砂利 」
砂利を庭の仕上げに使用することで、見た目の美しさと同時にメンテナンスの手間も削減でき、防犯効果や環境への配慮も叶えることができます。庭のデザインや機能性を高めつつ、比較的安価で維持管理がしやすい空間を作りたい場合、砂利は非常に魅力的な素材と言えます。また、砂利には温度調整効果があり、夏場は地面が過度に熱くなるのを防ぎ、冬場は冷え込みを和らげてくれます。特に、明るい色の砂利は日差しを反射するため、周囲の温度が上がりにくく、涼しげな空間を保つことができます。

「 コンクリート
 」
コンクリートは耐久性が高く、メンテナンスがしやすい事が大きな特徴です。ほうきで掃く、水で洗い流すといった簡単なお手入れで清潔に保て、雑草も生えにくいので管理がしやすいなどのメリットがございます。コンクリートの形を工夫したり、色や模様をつけることで庭のデザイン性を高めることもできます。ただし、すべてをコンクリートで仕上げると無機質な印象になり、太陽の照り返しも強くなりがちなので、部分的にタイルや砂利、芝生を取り入れる事をおすすめいたします。

「 タイル 」
タイルを庭に使用すると、メンテナンスが楽で、美観や安全性が高まるため、庭を快適で使いやすい空間にするのに最適です。タイルの種類やデザインも豊富なため、庭全体の雰囲気をコントロールしやすく、耐久性の高さから長期的に庭を美しく保ちやすいことが大きなメリットです。さらにタイルは熱に強い素材で、炎天下でもあまり熱くならない製品が多いため、夏場でも快適に過ごすことができます。
庭の植栽の種類と特徴

地面の仕上げとともに、庭づくりに欠かせいない要素となる植栽。庭の植栽を選ぶ際には、見た目の好みだけでなく、成長する大きさや手入れのしやすさ、季節ごとの変化なども考慮しておくことが大切です。次に代表的な植栽の種類と特徴をご紹介いたします。


「 常緑樹 」
常緑樹(じょうりょくじゅ)とは、一年を通して葉を落とさずに緑の葉を保ち続ける木のことです。通常、木々は一定のサイクルで新しい葉に生え替わりますが、常緑樹はこの過程を一年中ゆっくりと行い、葉がすべて落ちることがありません。そのため、夏も冬も常に緑の葉を楽しめるのが特徴です。葉が密集しているため、日よけや風よけ、目隠しとしても使いやすく、プライバシー確保にも役立ちます。代表的な常緑樹に、ツバキ、シマトネリコ、カシ、オリーブ、ヒイラギなどがあります。

「 落葉樹 」
落葉樹(らくようじゅ)とは、秋から冬にかけて葉を落とし、冬の間は葉がない状態となる木のことです。春になると新しい芽が出て、再び葉をつけます。落葉樹は、葉を落とすことで乾燥や寒さに耐え、エネルギーを節約し、また新しい芽を育てるために必要なリソースを確保します。春には新芽が出て、夏には緑の葉を茂らせ、秋には紅葉や黄葉が見られるなど、季節ごとの美しい変化を楽しむことができます。代表的な落葉樹に、モミジ、カエデ、イチョウ、ナラ、ハナミズキなどがあります。

「 低木や草花
 」
低木(ていぼく)は、背の低い樹木で、庭の中で目線を低く保ちつつ、ボリューム感を出すことができる植物です。剪定がしやすく、形を整えやすいものが多いため、庭のデザインに役立ちます。草花は、低木に比べてさらに背が低い植物で、花や葉を観賞するために植えられます。草花は多くの種類があり、花の色や形、開花時期も多様です。これらの植物をうまく配置することで、庭に季節感や彩りを加えることができます。代表的な低木に、ツツジ、アジサイ、ローズマリー、ツゲなどがあります。代表的な草花には、パンジー、カレックス、デイジー、サクラソウなどが挙げられます。
花みずき工房の『おしゃれな庭』の施工実例

 

すべての居室と繋がる庭空間


家の北面と南面を凹ませたH型の平面プラン。北側には1.5畳の坪庭、南側には6畳ほどの中庭を設け、平屋でありながら全ての居室が外と繋がるように設計されており、どの部屋からも四季折々の自然を楽しむことができます。

敷地面積 317.20㎡
建築面積 100.63㎡
庭の種類 前庭・坪庭・主庭
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家族の憩うウッドデッキが映える庭


コンクリートはあえて使わず、芝生や石を敷き詰め、築山が奥行きと立体感を生み出した自然豊かな庭には、ウッドデッキを設けて家族が集える心地よいひとときを過ごせる空間が広がります。

敷地面積 295.98㎡
建築面積 86.24㎡
庭の種類 前庭・主庭
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和モダン邸宅と上質に調和する庭


全面塗り壁で仕上げられた、上質な和モダンスタイルの邸宅。広々とした敷地の前庭には緑の美しいアオダモやモミジ等の植栽が建物と美しく調和しています。LDKの南面に広がる中庭には前庭と同様、モミジやアオダモが植えられ、室内に柔らかな木漏れ日を届けています。

敷地面積 355.36㎡
建築面積 148.64㎡
庭の種類 前庭・中庭
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ピロティで一体感を生む庭空間


お庭とつながるピロティの住まいには、アプローチ空間に背の高い植栽と低木を配置し、立体感のある緑豊かな空間が広がっています。裏庭には家庭菜園や、お子様が遊具で遊べるスペースも備えられています。

敷地面積 495.96㎡
建築面積 134.77㎡
庭の種類 前庭・主庭・裏庭
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今回は、家づくりと合わせて考えるべき「庭づくり」について解説いたしました。庭は家の外観や印象を大きく左右し、暮らしを豊かに彩る重要な要素です。庭の仕上げ方法や植栽の選び方には多様な選択肢があり、ご自身のライフスタイルや住まいにふさわしいものを取り入れることで、より快適で魅力的な住空間が生まれます。お住まいにふさわしい庭や、お家のデザインに調和する庭づくりについてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



住まいのご相談はこちらから >>

設計士

Kyohei Niwa

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