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注文住宅で失敗しないための完全ガイド|よくある失敗と対策

ベテランアドバイザーが語る
失敗実例と失敗しないためのアドバイス

注文住宅会社の打ち合わせ風景
家づくりは多くの方にとって一生に一度の大きな買い物となりますが、注文住宅は完成するまで実物を確認する事ができないため、出来上がった家を見て「思っていたのと違った」なんて言うことが起こらないとも限りません。大きな買い物だけに、お客様には失敗や後悔することなく理想の住まいを実現していただきたいと思います。そこで今回は、長年の注文住宅づくりに携わってきた経験をもとに、よくある家づくりの失敗例や、その対策をご紹介させていただきます。
注文住宅で失敗・後悔する主な原因

自由設計が売りの注文住宅は、すでに建物が完成している建売住宅とは異なり、デザインや間取りはもちろん素材や設備の選定まで、実に数多くの事柄を自分達で決めていく必要があります。それ故に予算管理も難しく、決めた内容を実際に確認できない場合もあるため、後になって「思っていたのと違った」「思っていたよりも高額だった」といった後悔につながることも少なくありません。ここからは、主な失敗例やその原因をご紹介させていただきます。

[ 予算管理の不備 ]
注文住宅では、建物の骨組みを作る基礎工事や木工事をはじめ、外装・内装工事や設備工事など様々な工事項目が発生し、その見積書には数十ページにもわたり細かな項目がずらりと並びます。初期の段階でしっかりと見積もり内容を確認しておかないと、後から足りないものが見つかったり、仕様のグレードを上げる必要などが生じて、結局予算オーバーになってしまう事もございますので、注意が必要です。

[ 設計の不十分さ ]
家族構成やライフスタイルを十分に考慮しない設計も、後々の暮らしやすさに悪影響を及ぼす原因となります。各部屋の広さや数が十分であっても、それぞれをつなぐ動線設計が甘いと、日々の生活に支障が出てしまうこともありますし、家族の成長を見越した間取り設計を怠ると、将来的にリフォーム費用の負担が増えてしまうこともございます。

[ 素材や設備の選定ミス ]
注文住宅では使用する素材や設備の選択肢も多岐にわたり、その選定を誤ると住まいの耐久性やメンテナンスに問題が生じることがあります。例えば安価な素材を選んだ結果、耐久性が乏しく早期に交換を余儀なくされたり、実例の少ない新商品の設備を選んだことで、予想もしなかったメンテナンスが発生してしまった等のトラブルも少なくありません。

[ 担当者とのコミュケーション不足 ]
決定事項の多い注文住宅では、住宅会社の担当者とのコミュニケーションも重要なポイントとなります。伝えたと思っていた内容が図面や見積書に反映されていないまま契約を進めてしまったり、誤解されたまま工事が進んでしまったりという問題も起こり得ますので、担当者とのコミュニケーションには十分な注意が必要です。
失敗・後悔したと感じるタイミング

注文住宅での失敗や後悔は、家づくりが進んでいく中で徐々に顕在化されていくものです。次に、家づくりが実際に進んでいく中で、失敗や後悔に気付く主なタイミングとその内容について、ご紹介致します。

[ 建築中 ]
建築中は、図面やパースで確認していた平面的なイメージが実際に建ち上がり、立体的に空間の広さを確認できるようになってきます。このタイミングでは「思ったよりも部屋が狭く感じる」とか、「窓や収納の位置が思ったよりも高い・低い」などといった、立体的な問題に気付くことが多くございますので、可能な限り現場に足を運び、問題を見つけた場合は早急に建築会社に相談される事をおすすめ致します。

[ 引越し後すぐ ]
引っ越し直後は、運び入れた家具や家電、大量の荷物を新居に設置・収納していくことになります。このタイミングでは収納不足に気づいたり、設置した家具によって部屋の広さや動線が圧迫されるなどの問題に気付くことがございます。また、最悪の場合は予定していた家具や家電が窓や通路から入らずに設置できないなどの問題もございますので、購入予定の家具や家電、収納したい生活品や衣類の量は、予め細かく建築会社に伝えておきましょう。

[ 入居1年後 ]
入居1年後になると、四季を通じて夏の暑さや冬の寒さを一通り経験することになります。このタイミングでは一年を通じた断熱性能や風通し、採光などの問題が見えてくることになります。LDKの日当たりが悪く、日中の寒さや暗さに悩まされたり、逆に日当たりが良すぎて夏場のエアコンの効きが悪かったりという様な問題が考えられますが、当然このタイミングで問題点が確認できたとしても対策をとることは困難になりますので、設計段階での断熱性能や、日射シミュレーションの確認をおすすめ致します。
ウォークインシューズクロークのある玄関

注文住宅の失敗例と対策
~玄関編~

[ 玄関収納スペースの不足 ]

お客様を迎える「家の顔」ともいえる玄関は、家族が毎日出入りする場所という事もあり、常に綺麗に保つのはなかなか難しいものです。よくある失敗例として、想定していた靴だけでなく、後から購入したアウトドア用品やお子様の自転車、ベビーカーなどで溢れてしまい、足の踏み場もなくなってしまうなどと言うことが考えられます。

ウォークインクローゼットの玄関

対策としてはウォークインシューズクロークを設けて2方向玄関にすることで、来客用と家族用の動線を分け、急な来客にもスッキリとした玄関でお迎えできるようになります。また、天井まで届くトールタイプの収納を採用することで、立体空間を活かして収納力を大幅にアップさせることができます。

[ 玄関からの動線設計不足 ]

生活動線の中で最も出入りが多い玄関だからこそ、動線の設計は非常に重要で、玄関と他の部屋を結ぶ動線がスムーズでないと、日々の暮らしが大変不便なものになってしまいます。例えば玄関からキッチンが遠すぎる場合や、リビングを抜けないとキッチンに迎えないという場合は、買い物後に荷物を運ぶのが大変な上に家事の効率も悪くなってしまいます。

買い物動線に優れた 玄関

対策としては玄関からキッチンへ直行する買物動線を設け、その間にパントリーを設置するなどの工夫をすることで、家事効率を向上させることができます。また、玄関からプライベート動線とパブリック動線を分けて設計することで、日常のストレスを大きく軽減させることが可能です。

開放的なリビング

注文住宅の失敗例と対策
〜リビング・ダイニング編〜


[ リビングの収納不足 ]
リビングはご家族が集まる場所になるため、思っている以上に物が持ち込まれる事になります。特に子育て世帯の小さなお子様がいるご家庭では、子供部屋よりもリビングでお子様が遊ばれることが多くなり、十分な収納スペースを設けていないと、生活品やおもちゃが常に散らかった状態になってしまい、急な来客時にもすぐに片付けられず、困ってしまうことになります。



対策として、テレビ壁の裏に空間を設けてウォークインの収納スペースを確保することや、リビング脇にウォークインクローゼットを配置した間取り設計で、プラスαの収納を確保することなどが有効です。

[ ダイニングが狭い ]

リビングダイニングは家族が集まる大切な場所ですが、リビングの広さばかりを優先してダイニングスペースの確保が不十分になることがありあます。
よくある失敗として、ダイニングを狭く設計してしまうことで、ダイニングテーブルの椅子を引く際に家族の動きが妨げられたり、小さなテーブルしか置けず、食器を十分に並べられないなどの問題があります。



対策としては、リビングを広くするだけでなく、ダイニングにも十分なゆとりを持たせることが大切です。4人掛けのテーブルを基準にするなら、約4.5畳のスペースがあれば十分な広さが確保できます。さらに、ダイニングテーブルをキッチンの近くに配置することで、食後の片付けがスムーズになり、家事動線が改善され、快適な生活が実現できます。

家事効率のいいキッチン空間

注文住宅の失敗例と対策
~キッチン編~

[ 作業動線の悪いキッチン ]
キッチンでの作業は、一日の家事の中でも比較的多くの時間を占めます。そのため作業動線が悪いと調理や後片付けが非効率になり、日常のストレスを生む原因となります。
作業動線の失敗例として、キッチンが狭すぎて家族とぶつかりやすかったり、シンクや冷蔵庫、コンロの配置が離れすぎていて、料理中の移動距離が長くなることなどが挙げられます。

ワークトライアングル

対策としては、シンク、冷蔵庫、コンロの3つを結ぶ「ワークトライアングル」を意識して設置することがポイントで、3辺の距離の合計が4〜6mに収まるように配置することで動線がスムーズになり、作業効率が大幅に向上いたします。

[ レンジフードの負圧問題 ]

レンジフードは調理中に発生する煙や油、臭いなどを排出するため、強力なファンで空気を外部に排出しますが、近年の高気密化した住宅では室内の気圧が低下し、外部との気圧差が生じてしまうことがあります。そのため負圧になった室内に外部からの汚染された空気が侵入したり、ドアの開閉がしにくくなるなど、日常生活に支障をきたす可能性があります。

同時給排型のレンジフード

対策として同時給排型のレンジフードを採用して給排気のバランスを適切に保ったり、必要に応じて給気口を設けることで、室内の気圧バランスを健全に保つことが重要です。

注文住宅の失敗例と対策
~水回り編~

[ 洗面脱衣室の混み合い ]

洗面脱衣室は洗面化粧台や洗濯機置き場と一緒になっていることが多く、毎朝の支度や家事で特に混雑しやすいスペースで、ここが使いにくいと家族全員にとってストレスの原因となります。
失敗例として洗面脱衣室のスペースが狭すぎると、毎朝家族が混み合い、順番待ちが発生することなどがあります。さらに脱衣室の中に洗面化粧台を設けると、家族が入浴中に洗面所が使い難くなるなどのケースもございます。



対策としては洗面脱衣室の広さにを十分に確保することが重要で、洗面化粧台や洗濯機も設置する場合は、畳3帖分のスペースを確保することで快適に利用することができます。また、洗面化粧台と脱衣スペースの間に視線を遮るロールスクリーンやカーテンなどを設置することで、プライバシーに配慮した家族全員が使いやすい空間になります。

[ トイレの配置不良 ]

トイレは毎日何度も使用する場所で、来客も利用することがあるため、配置選びがとても重要となります。よくある失敗例として、リビングやダイニングの近くにトイレを配置した結果、使用時の音や臭いが気になってしまうというケースが多く見られます。特に、最近のトイレは節水機能が向上した一方で、排水音が大きく感じられることがあり、より注意が必要です。



対策として、リビングダイニングとトイレの間に収納スペースを設けるなどの工夫が効果的です。また、音漏れ対策として、トイレの扉を引き戸ではなく開き戸にすることも効果的です。

ヌックを備えた階段室

注文住宅の失敗例と対策
~階段編~

[ リビング階段の問題 ]

リビング階段は階段室を設けずに空間を有効活用するためや、家族とのコミュニケーションを促進するために設置されることが多いですが、よくある失敗として、リビング空間の冷暖房が効きにくくなり、光熱費がかさむという問題があります。

吹き抜けに備えたシーリングファン

対策としては高性能な断熱材や断熱性高いサッシを採用して部屋の断熱性能を高めることや、シーリングファンを設置して冷気や暖気を循環させることで、空調効率を改善して快適なリビング空間を維持することができます。


[ スケルトン階段の問題 ]

スケルトン階段はデザイン性に優れ、スタイリッシュな空間を演出できることから近年人気が高まっていますが、安全面においては少し注意が必要です。失敗例として、おしゃれさを優先した結果、手すり部分の転落防止対策が不十分になり、特にお子様や高齢者にとって転落の危険性が増すことが挙げられます。



対策として手摺部分にピッチの細かい縦桟を設けるほか、段板間の蹴込み部分にもネットやアクリル板を設置して落下防止対策を講じる事をおすすめ致します。

注文住宅で失敗しないためのポイント

ここまで、注文住宅で起こりやすい様々な失敗例を紹介させて頂きました。ご家族の理想を優先しつつも、予算や間取り設計、仕様や設備の細部までしっかりと考えて計画をすすめないと、後々後悔してしまうことも少なくありません。次に、注文住宅で失敗や後悔しないためのポイントを大きく4つに分けてご紹介いたしますので、是非参考にしてみてください。

1.事前の準備と徹底的な調査

注文住宅の成功は事前の準備段階から始まっています。資金的にはある程度の頭金を準備しておく必要がありますし、理想の住まいのイメージを持っておくことも重要です。また、後で知らなかったという事が無いように、ある程度素材や設備に関しての知識を付けておくことも重要です。事前に友人宅やモデルハウス、設備のショールムなどに足を運び、住まいや設備に対する調査を行っておくことも、注文住宅で失敗しないためのカギとなります。


2.無理のない厳密な予算管理

予算オーバーは、家づくりにおいて後悔につながる大きな要因です。特に、見積もりの確認不足によって、工事の途中で追加費用が発生してしまうケースが少なくありません。事前に見積書の各項目をしっかりと確認し、ご自分たちが希望する仕様や必要な設備が含まれているかどうかを確認することがとても重要です。気になる点は建築会社にしっかりと確認をとり、不明な項目が一つも無いように心がけてください。
また、無理なローン設定も後々の問題を招く事になりますので、予備費を確保しながらも、実現可能な返済計画を専門家と共に立てられる事をおすすめいたします。


3.記録を残す詳細な打ち合わせ

注文住宅を建てる上では建築会社との打ち合わせ回数が多く、その中で曖昧な項目を放置してしまうと、後々の後悔に繋がってしまいます。打ち合わせの際に不明な点は必ず確認し、打ち合わせ内容は全て記録に残してもらうようにすることで、後におこる問題を未然に防ぐことが可能です。また、建築会社に要望や変更を伝える際には、口頭ではなくメールやLINEを活用し、必ず履歴を残しながら画像なども交えて正確に伝えることをおすすめ致します。


4.信頼できる会社選び

最後に最も重要になるのが注文住宅を依頼する会社選びになります。住まいづくりは始めてから完成するまで数ヶ月に及ぶ長い作業になりますし、建て終わってからも数十年にわたる点検やメンテナンスも必要となります。ある程度実績や経験のある会社を選ぶことで、安心して住まいづくりの相談や、建て終わってからのメンテナンスを依頼することができます。直接会社や見学会に足を運んでスタッフや職人の様子を確認したり、不安があれば会社の経営状況を確認しておく事も、失敗しないためのポイントになります。

快適に暮らし始める家族のイメージ

今回は、注文住宅における「失敗・後悔」しやすいポイントとその対策をご紹介させて頂きました。注文住宅では、完成するまで実際の住まいを確認できないため、思っていたものと違うと感じることも少なくありません。事前に注意すべき点をしっかりと把握しておくことが、失敗や後悔のない住まいづくりに繋がると思います。
とはいえ、多くの方にとって家づくりは初めての経験となりますので、インターネットの情報だけでは不安に感じると言う方も多いと思います。もし家づくりに関して不安や疑問がありましたら、どんな事でもお気軽にご相談ください。長年の経験を携えて、皆様の理想の住まいの実現を全力でサポートさせていただきます。


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ハウジングアドバイザー

Chisato Takatsu

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