廊下のない家の魅力 失敗例や間取りアイデアまで紹介
廊下のない間取りで叶える
無駄のない家づくり
廊下の役割について深く考えたことがある人はそれほど多くないかもしれませんが、廊下は部屋同士をつなぐ通路として機能し、家の中での移動をスムーズにする重要な役割を担っています。また、廊下には共用スペースと個人の部屋とを分ける役割もあり、視線や音を遮ることができるため、廊下があることで、必要なプライバシーが確保されやすくなります。
さらに日本の伝統家屋に多く見られる「縁側」は、部屋と部屋をつなぐだけでなく、室内と屋外をゆるやかにつなぐ役割も果たしており、単なる通路を超えて庭や外の景色を楽しむ場所としても機能し、四季の移ろいを感じながら心の安らぎを得られる空間となっています。このように、廊下は室内の移動を支えるだけでなく、外とのつながりや心地よい生活空間を作り出す重要な役割を担っています。
そんな廊下にはいくつかの種類があり、ここでは、代表的な「片廊下」「中廊下」「わたり廊下」の3種類についてご紹介いたします。
片廊下
前述のとおり、様々な枠割を担っている廊下ですが、近年では廊下のない家が増えてきています。廊下のない家とは、生活空間を最大限に活用するために、伝統的な廊下をなくした設計の家のことで、リビングやダイニングを中心に、各部屋が直接つながるように配置されます。この設計は、限られた面積の中で「無駄な空間」を減らし、居住スペースを広げることを目的としており、特に都市部や狭小住宅では、リビングや寝室などに必要な面積を確保できるといったメリットがあります。
廊下を省略することで、各部屋間の移動距離が短縮され、スムーズに家全体を行き来できるのも利点です。また、廊下がないため家族が自然と顔を合わせやすく、コミュニケーションが増えるという効果も期待できます。さらに、廊下に必要な建築資材や施工コストも削減され、建築費のコストダウンにつながる場合もあります。
一方で、廊下がないことには課題もあります。部屋が直接隣り合うことでプライバシーの確保が難しくなり、生活音が伝わりやすくなるため、間取りや壁の設計に工夫が求められます。また、廊下の役割としてあった採光や通風の確保、防災時の避難経路といった点にも配慮が必要です。廊下のない家は、こうした問題点に対応しつつ、省スペースかつ快適な生活空間を目指すための工夫が必要となります。
こういった廊下のない家が増えている背景には、現代のライフスタイルの変化や、近年の住宅事情などが関係しています。ここでは、なぜ近年廊下のない間取りが増えているのか、その背景についてさらに詳しく解説いたします。
地価や建築価格の高騰
共働き世帯の増加
環境への配慮
廊下のない家は、住まいの空間効率を向上させることはもちろん、快適で心地よい暮らしを実現いたします。次に廊下のない家が暮らしにもたらす恩恵をご紹介いたします。
移動の効率化
家族との自然なつながり
開放感と風通しの良さ
建築費の削減
ご紹介してきたとおり廊下のない家はメリットが多い一方で、十分な計画を立てて設計しないと、使い勝手に不便が生じる場合もございます。失敗を避けるために、廊下のない間取りにおける、よくある注意点とその解決策をご紹介いたします。
音の問題を軽減するためには、吸音性の高い素材を使用したり、部屋の配置を工夫して音が直接伝わりにくいように設計したりすることが重要です。例えば、寝室をリビングの対角線上に配置するなどの方法があります。
対策としては動線が重ならないように部屋ごとの配置を工夫します。例えば、キッチンとリビングをつなげることで家事の動線がスムーズになる一方、寝室などは少し独立した位置に配置して、動線が干渉しないようにする方法があります。
収納スペースの減少
収納をしっかり確保するために、部屋の中にクローゼットや棚を設けたり、リビングやダイニングを兼用で収納を組み込んだりする設計が必要です。また、家具の中にも収納機能を取り入れることで、収納不足を解消できます。
防災面での配慮
対策としては各部屋に適切な出入口を設け、非常時にスムーズに避難できるような設計が求められます。また、火災時に安全に避難できるよう、ドアの位置や窓の配置を考慮して、家具の配置にも工夫を凝らしましょう。
リビングを中心に子供部屋や主寝室、水回りが配置され、家族が自然に集いやすい間取りの平屋。キッチン裏の2.5帖クローゼットから洗面脱衣室へと続く回遊性のある動線により、暮らしやすさが工夫されています。また、室内に廊下を設けず縁側を取り入れることで、空間に広がりとゆとりが生まれ、自然とのつながりを感じながら、ゆったりとした生活を楽しめます。
世帯人数 | 4人 |
延床面積 | 86.05㎡ |
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廊下をなくした分の空間を有効活用した設計が特徴の住まい。リビング階段で家族のつながりを重視し、吹き抜け部分にスキップフロアを設けることで立体的な空間が生まれ、その下には和室を配置してさらに機能的に使えるよう工夫しました。LDKから洗面脱衣室へと繋がる回遊動線により、家事もスムーズに行える快適な住まいです。
世帯人数 | 4人 |
延床面積 | 105.17㎡ |
玄関からのスムーズな動線が特徴の平屋。玄関から水回り、パントリー、キッチンへと直接つながる設計で、家事動線が効率的に整えられています。また、主寝室と子供部屋の間に収納を設けることで、生活音への配慮がなされた安心設計です。廊下をなくす代わりに、ガレージや多目的スペース、畳コーナーといった余裕のある空間を取り入れ、広々としたゆったりした暮らしが楽しめる工夫がされています。
世帯人数 | 3人 |
延床面積 | 111.65㎡ |
今回は、廊下のない間取りがもたらす効果や、よくある失敗例と改善策、間取りのアイデアをご紹介いたしました。廊下をなくすか、あるいは上手に活用するかで、住まいの印象や使い勝手は大きく変わります。限られた空間を最大限に活かしたいとお考えの方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
理想の住まいづくりに向けて空間の使い方にお悩みの方、効率的な間取りプランをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。お客様のライフスタイルに合わせた最適なプランをご提案いたします。