MENU

Column

余った木材が未来を育む、地域支援活動の輪

浜松特別支援学校木工班との
課外授業での関わり

木工品の販売会の様子
環境保護の一環として、近年あらゆる分野の企業や団体で廃棄処理を減らす活動が行われていますが、花みずき工房でも家づくりの過程で余ってしまう木材の再利用に関して、様々な取り組みを行っています。その中で、数年前より行っている地域の学校に体験学習用の資材として家づくりで余った木材をご活用いただいている活動は、単に環境負荷を軽減するということから、子どもたちの未来を育む教育支援のお手伝いという、更に意味のある活動へと形を変えてきました。そこで今回は、余った木材がどの様に地域支援活動に活かされているか、静岡県立浜松特別支援学校様の取り組みの背景と意義についてご紹介させて頂きます。
花みずき工房の資材倉庫
木材のアップサイクル

木造住宅の家づくりでは多くの木材を使用しますが、花みずき工房では現場で材料が余らないように、設計段階から材料の歩留まりに配慮した家づくりを進めています。それでも余ってしまった木材については自社の資材倉庫で保管し、薪ストーブ用の焚き付け材、木工体験イベントの工作資材、ウッドチップなどとしてリサイクルしてきましたが、さらに数年前からは新たな活用方法として、静岡県立浜松特別支援学校の木工体験学習用資材として、木工班の皆様にご活用いただいています。

浜松特別支援学校の生徒さんが糸鋸で実習をしている様子

以前、その活用の様子を見学させていただきましたが、驚くことに浜松特別支援学校では木材を単なる体験学習の材料として使うだけでなく、生活に役立つ商品へと生まれ変わらせていました。生徒の皆さんが自ら商品開発や生産管理に取り組み、一つひとつ丁寧に木工製品を作られている姿にとても感心させられました。

浜松特別支援学校の生徒さんがドライバーで実習をしている様子

さらに、生徒のみなさんが定期的に販売会も開催して地域の方々へ商品を販売することで、実際に暮らしに役立つ魅力的な商品として、余った木材に新たな価値を吹き込んでくれています。私たちが取り組んできたリサイクルを超え、より価値を高めるアップサイクルとして、捨てられる筈だった木材を有効に活用していただいています。


コラムリンクバナー「
浜松特別支援学校への訪問の様子はこちら >>

資材倉庫で浜松特別支援学校の皆さんが木材を運んでいる様子
課外授業への協力

これまで木材の受け渡しは、担当の先生が直接資材倉庫に来られ、作業学習に適した木材を選んで持ち帰られる形で行われていましたが、今回は木工班の皆さんの課外活動の一環として、生徒の皆さんが自ら木材を引き取りに来てくださいました。これに際し、私たちも微力ながら課外活動のお手伝いをさせて頂くことになりました。ご訪問いただいた9名の生徒さんたちに木材の大切さや建築会社ならではの知識をお伝えするために、苗木から家づくりに使える木材になるまでの年数や、一件の家を建てるために必要になる材木の本数などを、クイズを交えながらご説明させて頂きました。

課外授業の様子
.
課外授業の様子

また、木工技術者による留め加工やダボ埋め加工の実演を披露させて頂き、簡単な加工体験も行っていただきましたが、生徒の皆さんはどれも熱心に取り組まれ、その意識の高さに感心させられました。

加工体験をする生徒さんの様子
.
加工体験をする生徒さんの様子

最後は、持ち帰って頂く木材の樹種や特性をご説明をさせていただき、短い時間ではありましたが、木工班の皆さんの活動が更に充実するように、ご協力をさせていただく貴重な機会をいただくことができました。

資材倉庫で浜松特別支援学校の皆さんが木材を運んでいる様子


後日、生徒の皆さんから感謝のお手紙をいただきました。その中には、「木材の大切さを改めて知ることができまた」「不良品を出さないように注意して作業に取り組みたい」「職人さんのようになるため努力を続けたい」といった力強い言葉が綴られており、生徒の皆さんの成長への意欲を強く感じました。

浜松特別支援学校の生徒さんからの手紙

この課外授業が、生徒の皆さんにとって単なる作業体験にとどまらず、新たな目標や意識を育む貴重な機会となったことを、大変嬉しく思いました。

浜松特別支援学校の生徒さんとオンラインミーティングする様子
商品開発への協力

課外授業から3週間後、木工班の先生方や生徒の皆さんとオンラインミーティングをさせていただく機会をいただきました。
木工班の皆さんの商品開発の目的や、今回ご提供させていただいた木材を活かして、どのような製品づくりを行うか?などについて、生徒の皆さんに素晴らしいプレゼンテーションを行って頂き、次回の販売会に向けた様々な意見交換を行いました。

生徒さんがプレゼンテーションをする様子


プレゼンテーションでは、「不良品を無くす」、「ひとつひとつ自身を持って取り組む」、「プロの職人さんの様になる」という、生徒の皆さんの3つの心構えも教えて頂きました。さらに、常に「どうしたらお客様が喜んでくれるか」を考えながら商品づくりに取り組まれていることや、木材の切断方法やヤスリのかけ方といった細部にまでこだわりを持って製品を作り上げていることについても、一人ひとりが丁寧に発表してくださいました。

真剣にプレゼンテーションを聞くスタッフ

初めての取り組みということもあり、開始当初はオンライン越しで緊張されている生徒さんもいらっしゃいましたが、最後には積極的に商品開発の感想や加工技術に関するアドバイスを求めてくださり、生徒の皆さんの「社会の役に立つ商品づくり」への熱い思いや、次回の販売会に向けた意気込みを強く感じることができました。
また、生徒さんたちのものづくりに対する真摯な姿勢や創意工夫は、私たちの家づくりへの取り組みにも新たな気づきと刺激を与えてくださいました。これからもこうした交流を大切にし、共に学び合いながら成長していきたいと感じました。

浜松特別支援学校の体育館で行われた販売会の様子
地域の輪が広がる作品販売会

オンラインでの打合せから一月半経過した11月9日の土曜日、浜松特別支援学校の体育館を含む、市内の3箇所の会場で「ハッピーはまとくマーケット」と題した販売会が開催され、私たちも足を運ばせて頂きました。

販売会開始前から並ぶ地域の人々の様子


当日は、開場前からこの販売会を心待ちにしていた地域の方々が大勢訪れ、生徒の皆さんが手がけた作品が並ぶ会場は大いに賑わいました。リピーターの方も多く、人気の商品は開始わずか数分で完売してしまうほどで、本当に欲しい商品として地域のニーズにしっかりと応えられていることを改めて確認することができました。

販売会に並ぶ商品の数々
.

生徒さんから商品の説明を受ける地域の方

.
アンケートを呼びかける生徒さんの様子

生徒さん達はこの販売会を通じて、自分たちの生み出した商品が「本当に欲しい」と思ってもらえる喜びを実感し、それが次の作品作りへの大きな自信にも繋がっています。また、販売会では地域の方々との対話や交流を重ねることで社会との接点を増やし、社会へ出るための準備を整えられる貴重な経験となっているようです。
この活動は生徒の皆さんが大きく成長する貴重な機会となっているだけでなく、地域の方々が本当に喜こばれるものになっており、地域と教育現場が手を取り合いながら進める素晴らしい連携の一例だと感じました。

商品がすべて完売した際の様子

私たちが廃棄する予定だった家づくりで余ってしまう木材が、本当に価値ある商品へと見事に生まれ変わった姿を目の当たりにすることができ、大変嬉しく思いました。
販売会で購入した商品たち

余った木材をご提供させていただくという小さな活動が、浜松特別支援学校の木工班の皆さんの「社会のために役立つものを作る」という熱い想いと共に、単に環境負荷を軽減するということを超え、未来を育む教育支援のお手伝いという、さらに深い意味を持つ活動へと発展してまいりました。これは私たち企業にとって大変価値のある経験であり、教育現場と企業が共に成長し、新たな価値を生み出す貴重な機会だと感じています。今後は、自社のノベルティ商品の開発や地域イベントの共同開催などを通じて、新たな価値を共に創造し、地域社会へのさらなる貢献を目指してまいります。

広報

Yukina Yamaguchi

Related Articles

この記事を見た人は、次の記事もチェックしています