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木造と鉄骨住宅の違い、住むならどっち?選び方と注意点

構造の違いから
メリット・デメリットまで

木造と鉄骨造の模型
新築を建てる際、「木造」と「鉄骨」のどちらを選ぶべきか迷われる方は多いのではないでしょうか。それぞれの構造には異なる特徴があり、耐震性・耐久性・コスト・住み心地などに違いがあります。そこで今回は、木造と鉄骨住宅の構造の違いをはじめ、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説し、自分たちに合った住まいを選ぶためのポイントをご紹介いたします。
木造住宅と鉄骨住宅の構造図

木造住宅と鉄骨住宅の構造の違い

家を建てる際、木造と鉄骨ではどのような違いがあるのか気になる方も多いでしょう。構造の違いによって、強度や耐久性、断熱性などに大きな差が生まれます。それぞれの特徴を理解することで、理想の住まいを選ぶ際の判断材料になります。ここでは、木造住宅と鉄骨住宅の構造の違いについて解説いたします。

木造住宅の構造

木造住宅は、柱や梁、筋交いなどの骨組みを主に木材で構成した建物です。天然の木材は強さと適度な柔軟性を持っており、地震などの揺れを吸収しやすいため、建物へのダメージを軽減する効果が期待できます。そのため、木造住宅は耐震性に優れ、長年住み続ける上での安心感も大きいと言えるでしょう。木造建築の工法には、大きく分けて、日本古来から伝わる「在来工法(木造軸組工法)」と、アメリカから伝わった「ツーバイフォー工法(木造枠組工法)」の2つの主要な方法があります。それぞれの工法には特徴があり、使用される木材や組み立て方にも違いがありますが、いずれも木の特性を活かし、安定した構造を実現するために工夫されています。

鉄骨住宅の構造

鉄骨住宅は、柱や梁、筋交いなどの骨組みを鉄骨で構成した建物です。鉄骨は非常に高い強度と剛性を持っており、細い柱を使用しても建物をしっかりと支えることができます。そのため、広い空間を確保したい場合や高層の建物に適しています。しかし、鉄骨は硬いため、地震や風の揺れを伝えやすいという特性があります。鉄骨住宅の工法には、軽量鉄骨を使用した「鉄骨軸組工法(ブレース工法)」と、重量鉄骨を使用した「重量鉄骨ラーメン工法」があります。一般的な戸建て住宅では、軽量鉄骨を使う「鉄骨軸組工法」が広く採用されています。これにより、軽量でありながら強度の高い住宅が実現できます。

木造建築

木造住宅の特徴とメリット

木造住宅は、その温かみのある風合いや自然素材を活かしたデザインが魅力的で、長年にわたり多くの人々に愛されてきました。しかし、見た目だけでなく、木造住宅には実際に住む上での多くのメリットも存在します。ここでは、木造住宅の特徴を詳しくご紹介し、実際に住む際の利点やメリットについて解説します。

1. コストが抑えやすい
木材は鉄やコンクリートに比べて軽量で加工がしやすく、建築資材としての流通量も多いため、材料費が安く抑えられます。さらに、プレカットやプレハブ工法を取り入れることで現場での工事時間を短縮し、建築コストを抑えることができます。日本では木造建築の技術も広く普及しており多くの職人が対応可能なため、人件費も比較的安価で済み、鉄骨住宅に比べて全体的にコストが低くなる傾向があります。また、木造住宅はメンテナンスが容易で、必要な箇所だけを修繕することで、長期的に見ても費用を抑えることができます。ただし、使用する木材の種類によって価格に差があるため、選定には注意が必要です。

2. 断熱性・調湿性が高く快適な住環境
木造住宅は、木材の優れた断熱性と調湿性によって、快適な室内環境を維持しやすい特徴があります。木材は熱伝導率が低く外気の影響を受けにくいため、夏は涼しく冬は暖かい空間を作り出します。この特性により、冷暖房の使用を抑えることができ、省エネルギーにもつながります。また、木材は湿度の変化に応じて水分を吸収したり放出したりする性質を持ち、室内の湿度を自然に調整します。これにより、湿気が多い梅雨時や乾燥しやすい冬でも適度な湿度を保つことができ、カビや結露の発生を抑える効果が期待できます。特に無垢材を使用した住宅では、この調湿効果が一層高まり、健康的で快適な住環境が実現できます。

3. デザインや間取りの自由度が高い
デザインや間取りの自由度が高い点も木造住宅の大きな利点です。木材は加工がしやすく、個性的で独創的なデザインを取り入れることができます。曲線を活かしたおしゃれなデザインや、多様なスタイルに対応できる柔軟性も魅力的です。特に、在来工法はその柔軟性が高く、間取りの変更や増改築にも対応しやすいため、ライフスタイルの変化に合わせて住まいを変えることが可能です。

4. 災害リスクを軽減できる
木造住宅は鉄骨住宅に比べて柔軟性があり軽量であるため、地震時の揺れによる建物への負担を軽減することができます。特に、近年では耐震性を向上させる技術や制度が進化しており、耐震等級の高い設計を採用することで、より安全性を高めることが可能です。また、木材自体の特性として火災に対して一定の耐性があります。木材は熱伝導率が低く、水分を適度に含んでいるため、簡単に火がつくことはなく、一度火がついても急速に燃え広がることはありません。このため、木造住宅は火災時にも安定した特性を持っていると言えます。

5. 自然素材でぬくもりのある空間を実現
木造住宅の大きな魅力の一つは、木材が持つぬくもりとリラックス効果です。木の香りや手触りは、心理的に落ち着きを与え、居住空間に心地よい雰囲気を作り出します。特に、無垢材を使用した床や壁は、化学物質を使わず自然な素材そのままで仕上げられているため、住環境にも優しく、健康にも配慮されています。無垢材は、経年変化によって色合いや質感が変わり、長く住むほどその味わいが増していきます。そのため、時間とともに愛着が湧き、より一層居心地の良い空間が実現します。
鉄骨住宅

鉄骨住宅の特徴とメリット

鉄骨住宅は、その強度と耐久性に優れ、多くのメリットがあります。特に、広い空間を確保したい場合や、構造的に安定性を求める場合には非常に適した選択肢です。ここでは、鉄骨住宅の特徴を詳しく紹介し、その魅力やメリットについて解説いたします。

1. 耐震性・耐久性に優れている
鉄骨住宅は、鉄骨の強靭さと粘り強さによって、地震のエネルギーを効率的に吸収し、鉄の高い強度を活かした構造により、引張や圧縮に対して優れた耐震性と耐久性を持っています。鉄は木材に比べて建物全体の剛性が高くなるため、地震の揺れに対して安定した耐性を発揮し、長期間にわたって構造的な安全性を確保します。

2. 広々とした大空間の設計が可能
鉄骨は木造に比べて柱や壁を少なくできるため、広々とした空間を確保しやすくなります。この特長により、開放感のあるリビングや吹き抜けのある空間を実現することができ、デザインの自由度が大きく広がります。特に、大きな窓を設けたり、間仕切りを少なくしたオープンな間取りを採用したい場合、鉄骨住宅は非常に適した選択肢となります。

3. シロアリ被害や腐食リスクが少ない
シロアリは木材を主に食害するため、鉄骨住宅ではシロアリの被害を受ける心配がほとんどありません。また、鉄は適切な防錆処理を施すことで、長期間にわたって強度を維持することができます。定期的な点検を行うことで、腐食のリスクを最小限に抑え、住宅の耐久性をさらに向上させることが可能です。

4. 工期が短く、品質が安定している
鉄骨住宅は、工場で精密に加工された部材を使用し、現場で迅速に組み立てることができるため、建築現場での工期を短縮することが可能です。工場生産によって部材の精度が高くなり品質も安定しているため、施工ミスなどリスクを軽減でき、仕上がりの信頼性も向上します。これにより、短期間で高品質な住宅を完成させることができます。
考えている人

木造住宅と鉄骨住宅のデメリットや注意点

木造住宅と鉄骨住宅はそれぞれに魅力的な特徴がありますが、どちらにもデメリットや注意点が存在します。住まい選びにおいては、メリットだけでなく、これらの欠点や注意点をしっかり理解し、自分のライフスタイルに最適な選択をすることが重要です。ここでは、木造住宅と鉄骨住宅それぞれのデメリットや注意すべきポイントについて詳しく解説します。


〜 木造住宅のデメリット 〜

 

・シロアリや害虫の被害

木造住宅は、シロアリやその他の害虫に弱いという特徴があります。特にシロアリは木材を食害し、構造部分に大きなダメージを与えることがあります。定期的な点検と駆除対策を行い、予防措置を講じることが求められます。

・湿気や腐食のリスク

木材は湿気を吸収しやすく、長期間湿った状態にさらされると腐食やカビの原因となることがあります。特に梅雨時や湿度の高い地域では、この問題が深刻になることがあります。適切な換気や防水処理を施し、湿気対策を強化することが大切です。

・メンテナンスや修繕が必要

木造住宅は定期的なメンテナンスが必要です。特に外装に木材を使用している場合はその塗装や木材の補修が頻繁に求められます。長期間にわたり美観を保つためには、手間とコストをかけて管理する必要があります。


〜 鉄骨住宅のデメリット 〜

・初期コストが高い

鉄骨住宅は、木造住宅に比べて建設コストが高くなる傾向があります。鉄骨の材料費や加工費が高いため、初期投資が大きく、予算に余裕がない場合は慎重に検討する必要があります。ただし、長期的に見れば、耐久性やメンテナンスの手間が少ないため、総合的なコストパフォーマンスは良好なこともあります。

・結露や湿気対策が必要

鉄骨住宅は、鉄が熱伝導率の高い素材であるため、外気温の影響を受けやすいです。特に寒冷地では鉄部分が冷え、室内との温度差によって結露が発生しやすくなることがあります。これを防ぐためには、断熱材や防露材を適切に使用し、湿気対策をしっかり行うことが求められます。

・音の伝わりやすさ

鉄骨は非常に強い反面、音を伝えやすいという特性があります。特に、鉄骨の構造がそのまま音を振動させるため、外部からの騒音や隣の部屋からの音が響きやすい場合があります。防音対策を講じるためには、厚い壁材や音を遮断する特別な素材を使用することが必要です。

・鉄の腐食リスク

鉄は湿気や水分に弱いため、適切な防錆処理が施されていないと、長期間の使用で腐食する恐れがあります。特に湿度の高い地域や海沿いなどでは注意が必要で、定期的な点検と防錆処理を怠ると、鉄骨の劣化を加速させ住宅の耐久性を損なう可能性があります。

打ち合わせ風景

木造住宅と鉄骨住宅、自分たちに合った住宅を選ぶためのポイント

木造住宅と鉄骨住宅、それぞれに特徴がありどちらが自分たちに最適かはご家族のライフスタイルや住む場所、予算などによって大きく異なります。住宅選びは一生に一度の大きな決断ですので、どちらの住宅が自分たちに合っているのか、じっくり考えて選ぶことが重要です。ここでは、木造住宅と鉄骨住宅が向いている方々の特徴を挙げながら、選択の参考にしていただけるように解説いたします。

木造住宅が向いている方
木造住宅は、温かみのある住空間や自然素材の良さを重視する方に向いています。特に、静かで落ち着いた生活空間を望んでいる方や、住宅内のデザインや間取りの自由度を求める方におすすめです。木材の調湿性や断熱性も魅力的で、エコロジー志向の方にも適しています。しなやかな強度とメンテナンスしながらの耐久性で、長期にわたって安心・安全に住み継いでいくことも可能です。また、比較的リーズナブルなコストで建てることができ、柔軟性が高いため、間取り変更や増改築を視野に入れた可変性の高い住まいを考えている方にも最適な選択肢と言えます。

鉄骨住宅が向いている方
鉄骨住宅は、強度と耐久性を重視する方に向いています。地震や台風などの自然災害に対する耐性が高いため、特に災害リスクを懸念している地域に住む方や、長期的な建築躯体の耐久性を求める方に適しています。また、壁の少ない広い空間を確保したい方にも向いています。初期費用がやや高めですが、メンテナンスの手間が少なく、安定した品質で長期間住み続けることができる点が大きな魅力です。

以上のように、木造住宅と鉄骨住宅にはそれぞれ異なる魅力があります。どちらが自分たちに最適かを決めるためには、家づくりにおける優先事項を明確にし、それぞれの特徴やメリット、デメリットを十分に理解した上で選ぶことが重要です。住まい選びは長期的な大きな投資ですので、じっくりと時間をかけて検討し、最適な選択をしましょう。

親子3人風景

今回は、木造住宅と鉄骨住宅の違いやそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介いたしました。このコラムが、家づくりで「木造」と「鉄骨造」で悩まれている方のヒントになれば幸いです。
花みずき工房では「永く安心して暮らせる木造住宅」にこだわり、長年浜松市で家づくりを行っています。木造躯体を長持ちさせるための通気工法や耐震性を高める木造軸組パネル工法などを採用し、許容応力度計算を用いた「耐震等級3」の家づくりを行っています。定期的に開催している構造見学会では、家が完成すると隠れてしまう壁や天井の内側もご確認いただけますので、ぜひ花みずき工房の構造見学会にも足をお運びください。


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工事監督

Syoji Hattori

保有資格
二級建築士
二級建築施工管理技士

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浜松市・静岡市を拠点に「暮らしに魅了される家づくり」を続けて30年。
100%自社設計で描く美しいデザインのオーダーメイドな家づくり。