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片流れ屋根とは?人気の理由やメリット・デメリットを解説

デザイン性と機能性を
両立した片流れ屋根の秘密

バーチャルモデル
住宅街を歩いていると、さまざまなデザインの家が立ち並び、それぞれ異なる形の屋根が目を引きます。屋根は住宅の外観を左右するだけでなく、機能性にも大きく関わる重要な要素の一つです。近年、その中でもシンプルで洗練されたデザインが魅力の「片流れ屋根」が注目を集めています。そこで今回は、片流れ屋根がなぜ人気を集めているのかに焦点を当て、そのメリットやデメリットを詳しく解説させていただきます。
片流れ屋根の平屋 外観

片流れ屋根とは?

片流れ屋根とは、屋根が一方向にだけ傾斜している形状の屋根のことを指します。一般的な切妻(きりづま)屋根のように両側に傾斜があるタイプとは異なり、直線的なデザインが特徴です。そのため、外観がすっきりとして洗練され、ほかの屋根形状に比べて現代的でスタイリッシュな印象を与えます。

片流れ屋根と切妻屋根 イラスト

また、片流れ屋根は機能面でも優れた特性を持っています。傾斜を活かして太陽光パネルを効率よく設置できるため、発電量を最大限に引き出すことが可能です。さらに、屋根の形状を利用して天井を高くしたり、屋根裏スペースを有効活用したりすることができるため、開放感のある空間づくりにも適しています。このように、片流れ屋根はデザイン性と機能性を兼ね備えた屋根形状として、多くの住宅で採用され出しています。

片流れ屋根の平屋 外観

片流れ屋根は人気?

近年、片流れ屋根の人気はますます高まっています。住宅金融支援機構が発表した【フラット35】の設計検査を受けた新築一戸建て住宅(木造軸組工法)のデータによると、平成7年度時点では片流れ屋根の採用率は全体の約2割でした。しかし、令和5年度の調査では4割を超え、大幅な増加が確認されています。

片流れ屋根グラフ

このように片流れ屋根が広く採用されるようになった背景には、住宅デザインの変化や建築技術の進化が影響していると考えられます。かつては限られた住宅に取り入れられていた片流れ屋根ですが、現在では戸建て住宅の一つの主流となりつつあり、今後もその動向に注目が集まるでしょう。

片流れ屋根 外観

片流れ屋根のメリット

片流れ屋根は、シンプルで洗練されたデザインが魅力ですが、それだけでなく機能面でも多くの利点があります。住宅の快適性や利便性を高める要素が多く、実用性にも優れています。ここでは、片流れ屋根の主なメリットについて詳しく紹介いたします。

1. シンプルでスタイリッシュなデザイン
片流れ屋根はシンプルな構造ながら、シャープで洗練された印象を与え、直線的なフォルムが現代的なデザインにマッチしやすく、スタイリッシュな外観を演出できます。また、片流れ屋根のシンプルなデザインは、さまざまな建築スタイルに調和しやすいことも魅力です。

2. コストを抑えやすい
片流れ屋根は一方向に傾斜するシンプルな構造のため、屋根材の使用量が比較的少なく、施工の手間も抑えられます。その結果、建築コストの削減につながる場合があります。特に複雑な屋根形状と比較すると施工の手間が少なく、工期も短縮しやすいため、コストを抑えることができます。

3. 採光や通風を確保しやすい
片流れ屋根の高い側の壁に大きな窓を設置することで、自然光を多く取り入れることができ、室内の採光性が向上いたします。また、開口部の位置を工夫することで、通風も確保しやすくなり、室内環境を快適に保つことが可能です。

4. 屋根裏スペースを有効活用できる
片流れ屋根は、その傾斜を活かして天井を高くしたり、屋根裏スペースを収納やロフトとして有効活用することができ、限られた床面積をより効率的に活用することができます。開放感のある室内空間をつくるのにも適しており、デザインの自由度が高まります。

5. 太陽光パネルの設置に適している
片流れ屋根は傾斜面を活かして太陽光パネルを効率よく設置できるため、発電量を最大限に活かすことが可能です。方角や角度を調整しやすいため、エネルギー効率の向上にもつながり光熱費の節約にも貢献するため、エコな暮らしを考える方にとって大きなメリットとなります。
山ぼうし茶房 外観

片流れ屋根のデメリット

前述の通り多くの利点を持つ片流れ屋根ですが、注意すべき点もございます。次に、片流れ屋根のデメリットについて、いくつかご紹介させていただきます。

1. 雨漏りのリスクが高まる
片流れ屋根は一方向に傾斜しているため、雨水が一か所に集中しやすく、排水処理が不十分な場合は雨漏りのリスクが高まります。特に、雨樋(あまどい)の負担が大きく、適切な排水計画がされていない場合、雨水が外壁に伝い、建物の劣化を早める要因になります。また、屋根の勾配が緩い場合は雨水の流れが悪くなり、屋根に水が溜まりやすくなることで、屋根材の隙間から浸水するリスクも高まります。

2. 強風の影響を受けやすい
片流れ屋根は片側が高くなるため、風を受ける面積が広くなり、強風時に屋根があおられるリスクが高まります。特に傾斜の高い側が風上になると、強風が屋根を押し上げる力が働き、吹き上げ現象によって屋根材が浮いてしまったり、最悪の場合は屋根材が剥がれてしまうなどのリスクがあります。

3. 屋根の重心が片側に偏る
屋根の傾斜が一方向のみのため、建物全体の重心が片側に寄りやすくなります。適切な設計がされていないと、建物のバランスが悪くなり、耐震性に影響を与える可能性があります。
片流れ屋根 外観

片流れ屋根を採用する際のポイント

ここまで、片流れ屋根の魅力と注意点についてご紹介してきました。では、実際に片流れ屋根を採用する際には、どのような点に気をつければよいのでしょうか。こちらでは片流れ屋根を採用する際に後悔しないための押さえておきたいポイントをご紹介いたします。

1. 排水計画をしっかり立てる
片流れ屋根は雨水が一方向に集中するため、適切な雨樋の設置や排水計画が重要です。排水処理が不十分だと、雨漏りや外壁の劣化を引き起こす可能性があるため、勾配の角度や排水経路を慎重に設計しましょう。

2. 風の影響を考慮した設計をする
片側が高くなる形状のため、風を受ける面積が大きくなり、強風時にあおられやすい傾向があります。特に台風や強風が多い地域では、屋根の固定を強化し、耐風性を高める設計が必要です。

3. 耐震性を考慮する
屋根の重心が片側に寄りやすいため、建物全体のバランスを考慮した設計が求められます。柱や壁の配置、基礎の補強などを工夫し、耐震性を確保することが重要です。

4. 軒の出を適切に設計する
片流れ屋根は軒が短くなりがちですが、十分な軒を確保することで、外壁の雨濡れや日差しの影響を軽減できます。特に、夏場の日射を抑えるために軒の長さを調整すると、室温の上昇を抑える効果も期待できます。

5. デザインと周囲との調和を考える
シンプルな形状ゆえに、デザイン次第で単調になったり、周囲の建物と調和しにくくなったりする可能性があります。外壁の色や素材、窓の配置などを工夫し、全体のバランスを整えることが大切です。

6.太陽光パネルの設置を検討する
片流れ屋根は傾斜を活かして太陽光パネルを設置しやすいため、発電効率を最大化できるように屋根の向きや角度を検討するとよいでしょう。
片流れ屋根 外観

今回は、片流れ屋根のメリット・デメリットについてご紹介させて頂きました。シンプルで洗練されたデザインや施工コストの削減、太陽光パネルの設置のしやすさなど、多くの魅力がある片流れ屋根ですが、一方でデメリットもあるため、特徴を十分に理解した上で設計を行うことが重要です。また、片流れ屋根以外にも様々な屋根の形状がございます。花みずき工房のホームページでは数多くの住まいの実例をご紹介していますので、これから住まいづくりをご検討される方は、是非参考にしてみてください。


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設計

Mieko Sano

保有資格
一級建築士
宅地建物取引士
インテリアコーディネーター

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浜松市・静岡市を拠点に「暮らしに魅了される家づくり」を続けて30年。
100%自社設計で描く美しいデザインのオーダーメイドな家づくり。